カリウム制限がある透析患者さんは、野菜不足になりやすいですよね。
確かに野菜にはカリウムを多く含んでいるものが多いのですが、食材の選び方、下ごしらえ、料理方法の工夫などで、カリウム摂取量を減らすことができます。

今回は透析患者さんが上手に野菜を食べるためのポイントについてご紹介します。
すぐに実践できる工夫ばかりですから、患者さんご本人はもちろん、ご家族もどうぞご参考になさってください。

透析患者さんは高カリウム血症に注意

透析患者さんの食事療法の中でも、カリウム制限は、最も重要なものの1つです。
ではなぜ透析患者さんはカリウムを制限しなければならないのでしょうか。

カリウムは、体内で細胞の働きを助けたり、水分を保持したりするミネラルです。
食事から摂取したカリウムは、小腸で吸収された後全身の細胞に運ばれ、その後約90%は尿として排泄され、残りは便や汗として体外に出ます。

こうして血液中のカリウム濃度は3.6~5.0mEq/Lに保たれているのですが、尿の出なくなった透析患者さんの場合は過剰なカリウムが体内にたまりやすくなります。

血液透析では週に3回血液中のカリウムを除去しますが、効果は一時的で、すぐに血液中のカリウム濃度は上昇してしまいます。
これが高カリウム血症で、倦怠感や食欲不振、嘔吐、舌や顔面のしびれなどの症状が現われ、最悪の場合不整脈、心不全、突然の心停止などで、命に関わることもあります。

高カリウム血症を防ぐためには、透析患者さんは体外に排出できないわけですから、体内にカリウムを入れないようにするしかありません。
そこでカリウムの多い食品を控える食事療法が必要になるというわけなのです。

カリウムの多い野菜、少ない野菜

野菜には、健康には欠かせない各種ビタミンや便秘を防ぐ食物繊維が豊富に含まれています。
カリウムの含有量は野菜の種類によって違います。

【カリウムの少ない野菜】

・キャベツ
100gあたり200mgと、カリウム含有量が葉菜の中では少なめなのが、キャベツです。
茹でると92mgとさらにカリウムが減るので、おすすめです。
葉の緑の部分にはカロチンが豊富で、芯のまわりにはビタミンCが多く含まれています。

・トマト
カリウム含有量は、100gあたり210mgです。
皮の赤い色素に含まれるリコピンは、活性酸素の働きを抑え、動脈硬化や悪性腫瘍の予防効果が期待できる栄養素です。
また血糖値の上昇を抑制するクエン酸も含んでいます。

・もやし
100gあたりのカリウム含有量が69mgと、野菜の中で最も少ないのがもやしです。
茹でると24mgまで少なくなるので、毎日の食事にぜひ取り入れましょう。
ビタミンC、ビタミンB₁、B₂に加え、貧血の方が摂りたい鉄も含んでいます。
便秘を防ぐ食物繊維も豊富な上、低カロリーなので、メタボリックシンドロームや肥満の方も積極的に食べたい野菜です。

・ピーマン
100gあたりのカリウム含有量は190mgです。
栄養価の高い野菜で、特にビタミンが豊富です。
免疫力を高めるカロチンが豊富で、油で料理すると吸収されやすくなるので、炒め物に加えましょう。

・オクラ
100gあたりのカリウム含有量は260mgと少なめです。
体力アップに効果的なスタミナ野菜で、ネバネバのもとになっているのは、ペクチンとムチンという成分です。
ペクチンには、腸内の善玉菌を増やし、便秘解消効果や血中コレステロールを下げる効果があります。
またムチンは気管や消化器の粘膜をおおって保護する働きがあるため、感染症予防に効果が期待できます。

・玉ねぎ
元々カリウム含有量は少なめですが、茹でると100gあたり110mgとさらに少なくなるので、料理に使いやすいのが玉ねぎです。
玉ねぎを切ると涙が出るのは、硫化アリルという成分が原因なのですが、硫化アリルは抗菌作用もあるので、感染症の予防にも役立ちます。

【カリウムの多い野菜】

・いも類
100gあたり、さつまいも480mg、里芋640mg、じゃがいも410mgと、芋類はどれもカリウム含有量が大変多いので食べる場合は控えめにしましょう。
冷凍の里芋はカリウム含有量が340mgと、生の里芋と比べるとかなり少なめになります。下処理の手間もなく、便利です。
また、干し芋はカリウム含有量が980mgと多いため、注意が必要です。

・ブロッコリー
ブロッコリーは100gあたり360mgとカリウム含有量が多い野菜ですが、茹でることで半分の180mgに減らすことができます。
蒸してもカリウムは減らないので、茹でるようにしてください。
ブロッコリーは抗がん作用が高いと注目されているアブラナ科の野菜で、カロチンやビタミンCも豊富です。

・ゴボウ
100gあたり320mgとカリウム含有量が多いので、食べ過ぎには気をつけてください。
茹でると210mgまで少なくなるので、必ず下茹でしてから料理に使うようにしましょう。
食物繊維が特に多く、腸内環境をととのえ、便秘を解消する効果が高い野菜です。

・キノコ類
キノコ類はどれもカリウム含有量が多いのですが、舞茸は100gあたり230mgと中では少なめです。
舞茸にはβグルカンという多糖類が含まれ、免疫機能をアップさせる働きをします。また腸を刺激して便通を促す効果もあります。

・ほうれん草
緑黄色野菜の中でも特に栄養価が高いほうれん草ですが、茹でても100gあたり490mgとカリウムが多く、透析患者さんには注意が必要な野菜です。小松菜のおひたしにすると、カリウム含有量が 140mgと少なくすみます。

野菜ジュース
一般的な野菜ジュース、トマトジュース等も非常にカリウムが多いです。手軽に飲めますが、飲む量には十分に注意しましょう。

野菜のカリウムを減らす調理のコツ

野菜に含まれるカリウムには水にとけやすい性質があるため、調理のひと手間である程度減らすことができます。

①下茹でする

野菜を炒めたり、煮たりする前に、たっぷりのお湯で下茹でをしましょう。
キャベツや小松菜などの葉物野菜は茹でたあとしばらく水にさらしてから、ぎゅっとしぼって水気をきってください。

②水にさらす

サラダなど生で食べる場合は、ボールにたっぷりの水をはり、切った野菜を入れて10分以上さらすようにしてください。
その後ざるにあけて、しっかり水をきりましょう。

③細かく切る

水にふれる面が多いほど、カリウムは溶けだしやすくなります。
野菜は、せん切りやさいのめ切りなど、細かく切るようにしてください。

透析患者さんの食事療法で制限しなければいけないカリウムは、野菜に多く含まれています。
特にカリウムが多い野菜は避け、調理の工夫でカリウムを減らしながら、無理なく食事を楽しみましょう。

低カリウムになってしまうと消化管(胃や腸)の動きが悪くなって便秘になってしまいます。野菜からは繊維質もとれるので快適な便通のためには適度な果物や野菜は栄養素として必要です。油断なく取り過ぎには十分注意して適度の野菜類を摂ってください。何が適度なのかは通常行われている血液検査のカリウム値を参考にすると良いでしょう。ざっくばらんに医療スタッフと相談して自分にとっての適量を見つけるようにすると血液データの結果を生かすことができます。

まとめ

  • 透析患者さんは、血液中にカリウムがたまりやすいので、カリウム摂取制限をする必要があります。
  • 高カリウム血症になると、倦怠感や嘔吐、顔面や舌のしびれ、最悪の場合不整脈、心不全、突然の心停止などで、命に関わることもあります。
  • カリウムは野菜に多く含まれているので、特にカリウムが多い野菜は避け、含有量が少ないものを食べるようにしましょう。
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  • キャベツ、トマト、もやし、ピーマン、オクラ、玉ねぎなどは、カリウムが少なめです。
  • いも類は、カリウムが多いので、食べる時は控えめにしましょう。
  • ブロッコリーは、茹でることでカリウムを少なくできます。
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  • ゴボウは、下茹でしてカリウムを減らしてから調理しましょう。
  • キノコ類では、舞茸がカリウム少なめです。
  • ほうれん草は、茹でてもカリウムが多いので、注意してください。
  • カリウムは水にとけやすいので、茹でたり、細かく切って水にさらしたりすれば、減らすことができます。