透析患者さんは、食欲が出なかったり、食事の時間をきちんと取れなかったりすることもありますよね。そのため透析を始めてから徐々に痩せてしまったという方も少なくありません。特に食が細くなっている高齢の患者さんには、低栄養の方もいらっしゃいます。そこで、おすすめなのは、食事からのエネルギー不足を間食で補う方法です。

今回のテーマは、透析患者さんの間食です。間食で摂りたいものから、食べるタイミングまで詳しくご紹介しますから、どうぞご参考になさってください。

食事制限は、3食+間食で考える

透析患者さんは、透析導入前の慢性腎臓病治療中から食事療法に取り組んできているので、「食べてはいけない」という気持ちから、エネルギー不足になっている方もいらっしゃいます。透析に至っていない時期は、タンパク質を制限する食事療法を行いますが、透析治療を始めてからは、タンパク質を含め、必要なエネルギーや栄養素をしっかり摂ることが大切です。

一度にたくさん食べられないという方や、透析治療を受ける日は食事の時間をゆっくり取れないという方は、朝食、昼食、夕食の3食に間食をプラスして、充分にエネルギーを摂りましょう。

逆に肥満やメタボリックシンドロームの方は、食べ過ぎ、エネルギーの摂り過ぎに気をつけてください。また、塩分やカリウム、リンなどは1日の合計値が制限範囲内におさまるようにします。特にカリウムやリンはほとんどの食品に含まれているので注意が必要です。

【透析中の食事の目安】

・1日の適正エネルギー 
標準体重(kg)×30~35kcal
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22

・塩分
1日6g未満

・タンパク質
1日標準体重(kg)×0.9~1.2g

・カリウム
1日1500~2000mg以下

・リン
1日800~900mg以下

エネルギー不足は、体内の老廃物を増やす!

では、エネルギー不足が続くと、具体的にどんな悪影響があるのでしょうか。食事量が不足すると、人間の体は筋肉を構成しているタンパク質を分解してエネルギー源にしようとします。そしてタンパク質を分解するときには老廃物が発生し、体内にたまります。つまり透析患者さんの体内に、ますます老廃物が増えてしまうというわけなのです。その他エネルギー不足は、体力の低下や免疫力の低下、貧血などにもつながります。

透析患者さんの間食のポイント

①現在の体重(ドライウェイト)と標準体重を比較

まず、間食を摂った方がいいかどうかを確認することから始めましょう。基準となるのは標準体重です。標準体重は、標準体重=身長(m)×身長(m)×22で求められます。現在の体重(ドライウェイト)が標準体重より少ない方や、ドライウェイトがだんだん減っている方は、食事だけではエネルギー不足になっていることが考えられます。間食を摂ることをおすすめします。

現在の体重(ドライウェイト)が標準体重より多い方は、間食を摂る必要はありません。食事でこれまでと同じ量を食べ続けていると、高血圧、高血糖などが進み心血管系疾患などの合併症を招くおそれもあります。食べ過ぎに注意してください。間食が必要かどうか自分で判断できない場合は、主治医やクリニックのスタッフに相談しましょう。

②間食で食べるものについて

間食で食べるものには、透析患者さんの体に負担となるものもありますので、気をつけましょう。

・スナック菓子はカリウムと塩分に注意

ポテトチップスなどのスナック菓子は、芋類が原料となっているため、カリウムを多く含んでいます。また、塩分も多いので透析患者さんは食べ過ぎに注意してください。
小袋タイプを選んだり、少量を皿に取り分けて食べたりするなどの工夫をしましょう。

・洋菓子はパイ菓子がおすすめ

原料に卵や牛乳などを使っているため、リンやカリウムの量が多くなっています。また、ショートケーキなどの甘いお菓子は、意外に塩分が多いので注意が必要です。
パイ菓子の生地は、カリウムやリンが少なく高カロリーなので、エネルギーを補いたい方にはおすすめです。
ただし、甘いものを摂り過ぎると血糖値や中性脂肪の数値が上がりやすくなるので、糖尿病性腎症の方は控えてください。

・葛切りはカリウムを含まない安心食材

和菓子では、抹茶やあんこをたっぷり使っているものは、カリウムの量が多いので避けましょう。カステラや白玉、みたらし団子などは、カリウムやリンが比較的少ないので、おすすめです。
また、葛切りはカリウムを含まない安心食材のため、透析患者さんの栄養補給にピッタリです。

・アイスクリームよりシャーベットを

アイスクリームは乳製品を原料に使っているので、リンが多く含まれています。アイスクリームよりシャーベットや氷菓子を選びましょう。

・パンよりおにぎりを

食が細くなって、食事の時にあまり主食が食べられない方は、間食でおにぎりなどを食べてもいいでしょう。サンドイッチや菓子パンなどはリンやカリウムの量が多くなるので、パンよりおにぎりを選びましょう。コンビニのおにぎりは塩分が多いので、薄味の手作りおにぎりがベストです。

・飲み物は水分制限に注意

果汁を使ったジュースは、カリウムが多いので避けましょう。
牛乳もリンが多いので、腸内環境を整え便秘を改善するためには、乳酸菌飲料をおすすめします。
また、水分制限をまもる ために、間食で水分を摂った場合は忘れずに1日の合計に加えてください。

②間食を摂るタイミング

では、間食は1日の中のどのタイミングで摂るのがいいのでしょうか。

・透析治療を受ける日

血液透析は、週に3回通院して、1回の治療には4~5時間がかかることが一般的です。
透析クリニックでは、午前中から透析を受ける方と、午後から始める方がいらっしゃいます。
午前中の患者さんは、通院にかかる時間も含めると、昼食が遅くなるケースが多いです。
そのため、クリニックによっては、患者さんの血圧などが安定している場合は、透析中に間食を摂ることをおすすめしています。
午後の患者さんの場合も、通院にかかる時間によっては夕食が遅くなる方がいらっしゃるので、透析中の間食をおすすめすることがあります。
しかし、透析導入をしたばかりの患者さんは、透析中や終了直後に、不均衡症候群という吐き気などを伴う合併症が起きることもあるので、間食については医療スタッフが患者さんの状態を見ながら慎重に判断します。

・透析治療のない日

透析治療のない日は、患者さんのご都合に合わせてどのタイミングで間食を摂っていただいても問題ありません。
しかし、食事と間食の間はある程度空いた方がいいので、昼食と夕食の間に摂ることが一般的です。
食事直前に間食を摂るのは、食事がしっかり食べられなくなる可能性があるので避けましょう。

透析患者さんは、食事から摂るエネルギーが不足すると、病状の悪化や体力低下につながります。
塩分、カリウム、リンが控えめの間食を上手に活用して、エネルギーを補給しましょう。

まとめ

  • 体重が減ってきた方や、食が細くなってきた方は、間食を活用して、エネルギー不足を補いましょう。
  • 肥満やメタボリックシンドロームの方は、食事や間食の食べ過ぎに気をつけましょう。
  • スナック菓子はリンや塩分が多いので、食べ過ぎないようにしましょう。
  • 洋菓子はリンが多いので注意してください。パイ類はリンもカリウムも比較的少なめです。
  • 食事の時間がずれる方は、間食でおにぎりを食べるのもおすすめです。
  • 血圧の低下などがなければ、透析中に間食を食べても問題ありません。