透析治療の時に血液の出入り口になるシャントが使えなくなって、再手術が必要になることがあると聞くと心配になりますよね。シャントのトラブルには、狭窄や閉塞、感染などがありますが、日常生活での注意点を守り自己管理をしっかりすれば長持ちさせることができます。

今回はシャントを長持ちさせるためのポイントについてご紹介しますので、これからシャント手術を受ける方もすでに透析を受けている患者さんも、どうぞご参考になさってください。

甚五郎甚五郎

ピーピー(ナースコールの音)


高瀬高瀬

はーい、どうされましたか?(あ、甚五郎さんだ……)


甚五郎甚五郎

呼んでいるんだから、早く来なさい。今日はどうしても聞きたいことがあるんだよ


高瀬高瀬

えっ、何かありましたか?


甚五郎甚五郎

いや、このシャントのことだよ。これはいつまでもつのかね。何年とか、決まっているのかい


高瀬高瀬

なるほど、シャントのことですか。甚五郎さんも、透析のことをたいぶ真面目に考えるようになってきましたね。いいことです!


甚五郎甚五郎

だから、いつまでもつのか、早く教えなさい


高瀬高瀬

シャントのトラブルについては個人差があって、何度も作り直すことになる患者さんもいれば、長期間使える患者さんもいらっしゃるんですよ


甚五郎甚五郎

その違いは何なんだ


高瀬高瀬

じゃあこれからシャントを長持ちさせる方法について説明しますから、しっかり聞いてくださいね


甚五郎甚五郎

よし、頼むよ

透析と透析の間の体重増加に気をつけて

体重増加とシャントは一見関わりがなさそうですが、実は密接な関係があります。尿が出なくなった透析患者さんは、体から出ていく水分よりも食べ物や飲み物から取る水分の方が多くなってしまうため、透析と透析の間の体重増加は、体内にたまった余分な水分によるものが大部分です。

血液透析ではこの水分を取り除くのですが、体内にたまった水分量が多いと除水量も増えるため、透析時に血圧が下がりやすくなります。
ですから血圧の変化が大きいと血管に負担がかかり、シャント血管の狭窄や閉塞のトラブルが起きやすくなってしまいます。

透析患者さんは水分や塩分の摂取量を制限して体重増加に注意するように指導されますが、これは心臓への負担を減らすだけでなくシャントを長持ちさせるためにも大切なのです。過度の水太りはシャントを傷めると覚えておいてください。

圧迫に弱いシャントを守るための、日常生活の注意点

シャントを圧迫すると、血流が悪くなり、狭窄や閉塞の原因につながります。日常生活の中で気をつけたいことをご紹介します。不便を感じることもありますが、大切なシャントを守るために早めに慣れていきましょう。

①バックを腕にかけない

バックや重い荷物などをシャント側の腕にかけて持つことは、絶対に避けてください。圧迫により血流が遮断される原因になります。荷物はシャントと反対側の腕で持つ習慣にしましょう。

②腕時計や指輪をしない

腕時計、指輪、ブレスレットなども血流を遮断するケースがあるので、シャント側にはしないようにしてください。腕や手に触れるものは、シャントと反対側が鉄則です。

③血圧測定時も注意

透析患者さんは、クリニック以外にご自宅でも血圧を測ることが多いですが、自分で測定する際も必ずシャントと反対側の腕で行うようにしてください。

④睡眠中に圧迫しない

眠っている間の癖は無意識に行ってしまうので気をつけていても難しいのですが、シャント側の腕を体の下にしたり手枕をすると、血管が圧迫されるので注意が必要です。

清潔に保って、感染防止

①強く搔かない

患者さんによってはシャント部分にかゆみを感じる場合もありますが、強く搔いたり搔きむしると傷ができて、そこから雑菌が入り感染が起きることがあります。かゆみが続くようなら、主治医やクリニックのスタッフに伝えて、対応してもらいましょう。

②透析をした日の夜は入浴を避ける

透析療法を行う際に針を刺した穴から雑菌が入り感染を引き起こす可能性があるので、透析を受けた日の夜は入浴を控えてください。
ですから週に3回透析を受けている患者さんの場合、入浴は基本的に1日おきになります。しかし汗をかいたりしてどうしても入浴したい時は、シャント部分を濡らさないようにしてシャワーだけを使い、湯船につかるのは避けましょう。

③長袖で保護する

年間を通して清潔な長袖の衣服でシャントを保護することをおすすめします。
けがの予防にも役立ちます。

セルフチェックも毎日の習慣に

①血液の流れを確認

動脈と静脈をつないであるシャントでは血流がUターンするので、ゴーゴーという音がします。この音によりシャントが正常に機能していることを確認できますので、朝と夜の1日2回シャントに聴診器を当てて音を聞くようにしてください。音が弱くなっていたり、聞こえない時は早めにクリニックに連絡しましょう。

②腫れや皮膚の色の変化をチェック

盛り上がりや腫れが気になったり、皮膚の色が変わってきた時は、シャントに異常が起きていることもあります。

③血流をよくする

時間のある時に、シャント側の手でボールを握るなどの運動をしましょう。
血流がよくなり血管が太く丈夫になるため、シャントを長持ちさせる効果があります。
指で数を数えるようにしてグーパー的な運動をするのも良いでしょう。

人工血管の場合はより厳格な血圧コントロールを

静脈が細くなっている患者さんの場合は、通常の内シャントが作れず、人工血管を用いることがあります。人工血管は高血圧の影響を受けやすいので、降圧目標を決めて、主治医の指示に従いましょう。

透析患者さんにとって大事なシャントは、自己管理を徹底することで長持ちさせることができます。毎日のチェックも必ず行い、少しでも変化が見られた場合は、すぐにクリニックに連絡してください。

高瀬高瀬

わかりましたか、甚五郎さん。シャントはしっかり自己管理すれば、長持ちさせることが可能なんですよ


甚五郎甚五郎

腕時計は、シャント側の腕の方が見やすいんだけどなあ。仕方ない、これからは反対側にするとするか


高瀬高瀬

はい、ぜひそうしてくださいね。お風呂も今日はやめて、明日にしましょう


甚五郎甚五郎

風呂は何よりの楽しみだが、仕方ないなあ


高瀬高瀬

荷物を持つ時にも気をつけてくださいね。甚五郎さんは今日もずいぶん大きな荷物をお持ちですが、シャントと反対側の腕で持って帰ってくださいよ。
今のシャントが使えなくなって再手術になるのも嫌でしょう?


甚五郎甚五郎

今日はここに透析に来る前に買い物してきたから荷物が重いんだよ。
シャントに負担がかかるといけないから、君、うちまで運んでくれよ


高瀬高瀬

えっ。無理ですよ。反対側の腕で持てばいいじゃないですか


甚五郎甚五郎

なんだ、サービスが悪いな


高瀬高瀬

サービスって……。とにかくシャントを長持ちさせるための工夫について下にまとめておいたので、ちゃんと読んでおいてくださいね


甚五郎甚五郎

わかったよ

まとめ

  • シャントを長持ちさせるためには、しっかりとした自己管理が大切です。
  • 透析と透析の間に体重が増え過ぎると除水の際にシャント部分に負担がかかりやすくなるため、水分、塩分の制限を守り、体重増加に気をつけてください。
  • シャントの圧迫は血管の狭窄や閉塞につながるので、重い荷物をシャント側の腕にかけて持たないなど、日常生活でも注意しましょう。
  • 感染を防ぐために、透析を受けた日は入浴を控えるのが基本です。
  • シャントの血流の音は毎日確認しましょう。
  • 透析終了時に穿刺部に貼る止血パッチは長時間そのままにしておくと感染を起こしやすいので指示のない限り その日のうちにはがすようにしましょう。