透析療法を受けていても思うように体調が回復しないと、他の病院に変わった方がいいのではないかと考えることがありますよね。自分の病気についての診断や治療方針について、現在の主治医以外の他の医師の意見を聞いて参考にすることを、セカンドオピニオンを受けると言います。

末期腎不全で透析治療が必要になっている場合、他の診断や治療法が見つかることは難しいですが、他の医師の意見を聞いて自分の病気や体の状態についてより理解を深めることは患者さんのためになります。

今回は透析患者さんのセカンドオピニオンについてご紹介します。

甚五郎甚五郎

ピーピ―(ナースコールの音)


高瀬高瀬

はい、どうしましたか?


甚五郎甚五郎

どうかしたというか、ここのところずっと体調がよくなくてな。
透析を始めたらもっと体が楽になると思っていたんだが……もしかしてこの病院の治療がワシにあっとらんのじゃないか?


高瀬高瀬

えっ!うちの病院では甚五郎さんの症状に合わせて透析量を調整して、ベストと判断した治療をしていますよ


甚五郎甚五郎

そうかなあ……それにあれ食べるな、これ食べるなと食事についてもうるさいし


高瀬高瀬

また、そんなこと言う……透析患者さんは食事制限がとても大事だっていつも話してるじゃないですか!でも甚五郎さんがそんなに今の治療に疑問を感じているなら、他の病院でセカンドオピニオンを受けてみる方法もありますよ


甚五郎甚五郎

なんだい、そのセカンドなんとかというのは?


高瀬高瀬

じゃあこれから透析患者さんのセカンドオピニオンについて説明しますから、聞いていてくださいね


甚五郎甚五郎

よし、頼むよ

セカンドオピニオンとは

セカンドオピニオンとは、自分の病状や診断、治療法の選択などについて、現在の主治医とは別の医師の意見を聞くことです。誤解されやすいのですが、セカンドオピニオンとは別の医療機関に転院したり、担当医を変更することではありません。

他の医師の意見を聞くことで、現在受けている治療への理解を深めることができますし、患者さん自身が納得して治療を継続することができるようになります。ではセカンドオピニオンを受けるためには、どうしたらいいのでしょうか。

まず現在の主治医にそのことを伝えます。「そんなことを言うと主治医に失礼になるのではないか、気を悪くするのではないか」と心配される患者さんもいらっしゃいますが、遠慮する必要はありません。信頼できる医師なら、少しでもよくなりたいという患者さんの気持ちを理解し、こころよく了承してくれるケースがほとんどです。現在の主治医から、各種検査結果などの記録と紹介状を準備してもらって、セカンドオピニオンを受ける医療機関を受診してください。

また大学病院などはセカンドオピニオン外来を設けているところが多いですが、セカンドオピニオンは保険診療とならず自費診療になるため、費用は病院によって違ってきます。

透析患者さんの場合のセカンドオピニオンとは

一般的にセカンドオピニオンを受けるのは、外科的な治療から化学療法まで様々な治療の選択肢がある癌などの患者さんが中心です。
そういった病気に比べて、透析治療は腎移植を除くと末期腎不全の唯一の治療法であるため、セカンドオピニオンを受ける大きなメリットはありません。

またどのくらい老廃物を取り除くかという透析の量やスピードは、これまでの患者さんの透析時の様子を考えながら主治医が判断するので、転院するよりもこれまでのデータと患者さんの状態を熟知しているクリニックの方が安心です。

それでも一度セカンドオピニオンを受けたいという場合は、大学病院や総合病院に設けられているセカンドオピニオン外来を受診するか、日本腎臓学会の腎臓専門医名簿(https://www.jsn.or.jp/specialist/listindex.php)や日本透析医学会の専門医名簿(http://member.jsdt.or.jp/list/specialist)を参考に医療機関を探してください。

引っ越しで転院の必要がある場合

透析患者さんは同じクリニックで長く透析治療を続けるケースが多いのですが、お住まいが変わって通えなくなる場合は新しい医療機関を探さなければなりません。引っ越し後新しい施設でスムーズに透析治療が受けられるように、転院先は早めに見つけておきましょう。

まず引っ越しが決まったらすぐに現在の主治医に伝えてください。次に引っ越し先から通える範囲にあるクリニックを複数リストアップします。いわゆる伝言ゲームになってしまうと情報が混乱してしまうことがありますので、転院先は原則として患者さんご自身で連絡をとってみて下さい。

ホームページなどを参考にクリニックの特徴をチェックするだけでなく、できれば実際に出向いて施設の見学をすることをおすすめします。
この時可能なら出張や旅行者用の臨時透析を受けておくと、施設や医療スタッフの雰囲気も確認することができます。そしてこれから透析を受ける施設を決めたら、現在の主治医から紹介状を書いてもらい、転院の手続きをします。

通常血液透析は1日おきに行うので、引っ越しの前日には元のクリニックでの最後の透析治療を受け、引っ越し翌日には新しいクリニックで初回の治療を受けるようにしてください。

ドクターショッピングにならないように

患者さんが1つの医療機関の診断や治療方針に満足できず、いくつもの病院を受診して回ることをドクターショッピングと言います。透析患者さんにはあまりいらっしゃらないのですが、いたずらに複数の医療機関を受診しても得られるものはなく、むしろ不安感が強くなることがあるので、ドクターショッピングにならないように気をつけましょう。

セカンドオピニオンに受けることで、患者さん自身の病気や治療への理解を深まることはあります。しかし長く続けていくことになる透析治療は、クリニックとの信頼関係が重要です。安易に転院を考えるより、主治医や医療スタッフに疑問点や悩みを相談できる関係を築くことが、治療や透析患者さんのQOLの向上にも役立ちます。

高瀬高瀬

あ、甚五郎さん。どうでしたか、セカンドオピニオン


甚五郎甚五郎

行ってきたよ。でも診断はこの病院と同じだったし、この病院で受けている透析のデータも見せたんだが、いい治療を受けていますねと言われたよ


高瀬高瀬

そうでしたか。ではそれで安心されましたか


甚五郎甚五郎

安心したし、これからもこのクリニックでお世話になっていこうと決めたよ。まあよろしく頼むよ


高瀬高瀬

甚五郎さんにそんなふうに言われると、照れますよ


甚五郎甚五郎

あんたもワシがよその病院に行ってしまうと寂しいだろ?


高瀬高瀬

うーん……。セカンドオピニオンについては下にまとめておきましたから、読んでおいてくださいね

まとめ

  • 診断、治療法の選択などについて、現在の主治医とは別の医師の意見を聞くことをセカンドオピニオンと言います。
  • セカンドオピニオンを受けることで、病気や治療についての理解が深まります。
  • 透析患者さんの場合は末期腎不全の唯一の治療法である透析療法を行っているので、セカンドオピニオンで他の治療法を提案されることはありません。
  • 引っ越しで転院が必要な場合は、事前に複数の施設を見学し、可能なら臨時透析も受け、これから透析を受けることになる施設を選びます。
  • 長く続けていく透析療法は、安易に転院を考えるよりもクリニックや主治医、医療スタッフとの信頼関係を築きましょう。