普段は厳しい食事制限を守っている患者さんも、たまには美味しいラーメンを食べたくなりますよね。
外食の中でも塩分、カリウム、リンなど腎臓の悪い方が制限しなければいけないものを特に多く含んでいるのがラーメンです。基本的には、絶対に避けなければならない料理の一つです。
しかし食べ方を工夫することで、慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんもラーメンを食べることができます。
今回は腎臓にできるだけ負担をかけないラーメンの食べ方をご紹介します。

ピーピー(甚五郎のナースコールの音)

高瀬高瀬

はい、どうしましたか?(あ、また甚五郎さんだ……。今日は何を言い出すんだろう)ご気分が悪いですか?


甚五郎甚五郎

気分? ここ数日ラーメンが食べたくてたまらないんだ。ラーメンの夢を見たほどだよ


高瀬高瀬

またそんな無茶を……。食事療法についての話を思い出してくださいよ。ラーメンは1食だけで、1日の塩分摂取量の目安を超えてしまうってお話をしましたよね?


甚五郎甚五郎

そんな話あったかね? とにかくラーメンが食べたいんだよ。患者の希望を叶えるのが君の仕事だろ? なんとかしなさい!


高瀬高瀬

全く……仕方ないなあ。じゃあなんとか甚五郎さんがラーメンを食べるための方法を考えますから、私の話をよく聞いてくださいね


甚五郎甚五郎

よし、頼むよ!

ラーメンの塩分量について

濃い味つけが多い外食の中でも、ラーメンは特に塩分が多く、1食で1日の塩分摂取量の目安6gを超えてしまいます。
その内訳を見てみましょう。

①スープ

ラーメンの高塩分の主な原因の1つは、コクとうまみがあるスープです。
店やラーメンの種類によっても違いますが、スープだけで約5g~6gの塩分を含んでいます。

②中華麺

中華麺には生麺の状態では1食分で約1gの塩分が含まれています。
ラーメンとして食べる時には一度ゆでてからスープに加えるので、ゆで汁の中に塩分が溶けだすのですが、それでもゆで麺には0.4gの塩分が残ります。

③チャーシュー

チャーシュー1枚(約20g)あたり、約0.4g~0.5gの塩分を含んでいます。

④メンマ

1食分(約10g) あたり、約0.1gの塩分を含んでいます。

⑤ゆで卵

2分の1個で約0.1gの塩分を含んでいます。

⑥なると

1枚(5g)で約0.1gの塩分を含んでいます。

カリウムとリンの量にも注意

ラーメンで注意しなければならないのは、塩分だけではありません。
慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんが制限しなければいけないカリウムやリンも多く含まれています。

①リンの量が多いチャーシューとゆで卵

チャーシューには保存料のリン酸塩などが使われているケースがあります。
またゆで卵は卵黄部分にリンを多く含んでいます。

②カリウムが多い野菜とスープ

ラーメンの野菜にはカリウムが多く含まれています。
またスープにも野菜のカリウムが溶け出しています。

腎臓の負担を最小限にするラーメンの食べ方

では慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんがラーメンを食べるためにはどうしたらいいのでしょうか。
慢性腎臓病の食事療法では、特に食べてはいけないものが決まっているわけではありません。
慢性腎臓病を進行させたり、腎臓に負担をかけるものをできるだけ摂らないような工夫をすることがポイントです。

①スープは軽く味見する程度に

塩分が多くカリウムが溶け出したスープを全部飲むのは厳禁です。
またスープは直接飲まなくても麺や具にからんで摂取することになるので、その塩分も気にする必要があります。
特にちぢれ麺にはスープが絡みやすいので、麺を選べる店なら太麺を選ぶようにしましょう。
そして麺と具を中心に食べて、スープは残すようにすれば、塩分摂取量を約3g~3.5g減らすことができます。

②チャーシューとメンマは半分残す

塩分とリンが多いチャーシューは食べるのをなるべく控えてください。
メンマも全部食べてしまうと、塩分が多くなります。

③ゆで卵は白身だけ食べる

リンが多い卵黄は残しましょう。

④ラーメンではなくつけ麺を選ぶ

ラーメンの麺には、塩分の多いスープがからみやすいので、スープと麺が別々になったつけ麺を選ぶという方法もあります。つけ麺であれば、自分でつけ汁の摂取量を完全にコントロールすることができます。

⑤透析患者さんの場合は、透析の間隔が中1日の時に食べる

スープや具に気をつけて食べても、塩分や老廃物が溜まりやすくなるラーメンには、透析患者さんの場合は一層注意する必要があります。
週3回透析療法を受けている患者さんの場合、透析と透析の間隔が中1日と中2日になる時がありますが、ラーメンは中1日の時の透析前日に食べるようにしてください。そのタイミングが、一番身体への負担を少なくすることができます。

自宅でラーメンを作るなら、こんな工夫を

自宅で作れば、塩分やカリウム、リンなどを工夫次第で減らすことができます。

①インスタントラーメンを使う場合

麺は一度ゆでこぼし、ざるにあげて水でさっと洗ってから使うことで、リン酸塩やリン酸カルシウムなどの添加物を減らすことができます。
スープのもとは半分程度の量を使い薄味に仕上げましょう。
味が物足りない時はこしょうや、ごまなど塩味以外の味をプラスすると美味しく食べることができます。
キャベツや、ニラ、もやし、玉ねぎなどの野菜は細かく切ってから水にさらし、ラーメンとは別の鍋を使って下ゆでしてください。
ゆでた後水気をギュッとしぼってラーメンにのせれば、カリウムの量を半分近く減らすことができます。

②生麺を使う場合

生麺にもリン酸塩やリン酸カルシウムなどの添加物が含まれているものがあるので、ゆでこぼしてからスープに加えるようにしてください。
また慢性腎臓病の患者さんや透析患者さん向けに栄養成分が調整されたたんぱく質調整麺も売られています。
それを使えば塩分、カリウム、リンなどを控えることができるので安心です。                          
さらにラーメンのスープを鶏ガラからとり、減塩醤油などで軽く味付けをすれば、塩分を抑えることができるので、おすすすめです。
自分で鶏ガラからスープをとるのは手間がかかりますが、まとめて作って小分けして冷凍しておけば、様々な料理に使え、便利です。
市販のスープのもとやうま味調味料などを使うよりも塩分摂取量を抑えることができます。

食事療法は1日の合計値で

食事療法はずっと続けていかなければならないものなので、毎日3食をすべて完璧にしようとすると無理になることもあります。
外食をする場合などは、1日の合計値の中で塩分やカリウム、リンなど量を調整するようにしましょう。
ラーメンを食べる日は、前後の食事に、より気をつけるようにしてください。

塩分やカリウム、リンなど、腎臓の悪い患者さんが制限しなければいけないものを多く含んでいるのがラーメンです。
しかし食べ方を工夫してルールを守れば、食事療法中の息抜きとして楽しんでいただくこともできます。

高瀬高瀬

ラーメンの食べ方のルール、わかりましたか


甚五郎甚五郎

わかった、わかった。言うことはきちんと守るから、ラーメンを一緒に食べに行かないかい?


高瀬高瀬

ほんとにわかったのかなあ……


甚五郎甚五郎

いつ行く? わしは今日でも明日でも構わんよ。前から気になっている店があるんだ。善は急げだ、早く行こう


高瀬高瀬

私が一緒に行くと横で食べ方に指導をするからうるさいかもしれませんよ。それでもいいですか


甚五郎甚五郎

構わんよ。ラーメン食べられるならちょっとぐらいうるさくても我慢できるよ


高瀬高瀬

まあ、うるさいのはお互い様ですからね


甚五郎甚五郎

お互い様って? ワシは静かな患者なんだけどなあ


高瀬高瀬

……。とにかくラーメンの食べ方について下にまとめておいたので、行くまでによく読んでおいてください


甚五郎甚五郎

わかった、わかった(まったくうるさいなあ……)

まとめ

  • ラーメンはスープまで全部飲んでしまうと、1食で1日の塩分摂取量の目安6gを超えてしまいます。
  • 慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんは、ラーメンのスープは残し、麺や具を中心に食べましょう。
  • チャーシューやメンマ、ゆで卵などの具にも注意が必要です。
  • 透析患者さんの場合は、透析の前日に食べるという方法もあります。