週に3回通院して1回4~5時間の治療が必要な透析患者さんは、透析が中心の生活になりがちですよね。なかなか自由な時間が持てないことに悩んだり、転職が必要になったり、仕事を続けられなくなる方もいらっしゃいます。
そんな時間的な制約が解決できるのが、就寝中に行うオーバーナイト透析です。

オーバーナイト透析は、日中の時間を有効に使えるようになるだけでなく、約8時間の長時間透析を行うので、患者さんの体にあまり負担をかけることなく、多くの老廃物を取り除くことができます。しかし、すべての患者さんができる治療ではなく、オーバーナイト透析を行うための条件やデメリットなどもあります。

今回は、オーバーナイト透析についてご紹介します。

オーバーナイト透析とは

オーバーナイト透析とは、その名の通り、夜間の眠っている時間に行う血液透析です。通常の血液透析は、週に3回通院して1回あたり4~5時間かけて治療を行いますが、オーバーナイト透析の場合、回数は週に3回と同じですが、治療時間は夜から翌朝までの約8時間かけて長時間透析を行います。

長時間透析は、患者さんの体への負担が少なく、多くの老廃物を除去できる治療法です。しかし、昼に行うと、患者さんは日中の長い時間をベッドで過ごさなければならず、日常生活への影響が大きくなってしまいます。
そこで時間の使い方を工夫し、睡眠中に長時間透析を行う治療法が生まれたというわけなのです。

オーバーナイト透析の種類について

オーバーナイト透析は透析クリニックで行う場合と、患者さんの自宅で行う場合があります。

①透析クリニックで行うオーバーナイト透析

夜、透析クリニックに行き、1泊して血液透析を行います。回数は一般的な血液透析と同じで、週に3回が基本です。透析治療を受けながら眠れるかどうか、心配される患者さんいらっしゃいますが、ほとんどの方はすぐに慣れて、自宅と同じようにぐっすり眠れるようになります。

施設によって多少違いはありますが、一般的なスケジュールは次のようになります。

・20時頃
透析クリニックに行きます。
仕事を続けながら透析治療を続けている方は、職場から透析施設に直行される方も少なくありません。

・20時~
体重測定を行い、ドライウエイトとの差から除水量を決定します。
また、血圧も測定します。
ベッドに入って、透析を開始します。

・21時、22時~
医療スタッフが患者さんの状態に異常がないことを確認したら、消灯します。

・翌日4時~6時
透析を終了します。
血圧を測定し、患者さんの状態が落ち着いていれば、帰宅です。

・費用
施設に週3日宿泊して長時間の透析を行うことになりますが、費用は通常の血液透析を受ける場合と同じです。

②自宅で行う在宅オーバーナイト透析

自宅で血液透析ができる在宅透析なら、患者さんの都合に合わせていつでも透析を行えます。ですから、夜間の睡眠時間を透析時間に当てれば、さらに時間を有効に使えるようになります。しかし、在宅透析は、透析施設で医療スタッフが行う装置の準備や操作、針刺し、片づけなど、すべて患者さんや患者さんのご家族で管理して実行することになります。

また、透析中に何らかの異常が起きた場合、夜間でもすみやかに対応できるご家族のサポートも必要になります。

・費用
在宅透析の費用は、透析施設で血液透析を行う場合とほぼ同じです。透析装置は、医療機関から借りることができるため、患者さん自身が購入する必要はありません。しかし、装置を自宅に設置し動かすためには、専用電源や給水・排水の工事が必要になることもあり、その工事費等に関しては患者さんの自己負担になります。

そのほか、透析を行うための電気代や水道代なども必要になります。

オーバーナイト透析のメリットとデメリット

オーバーナイト透析を検討する上で、メリットとデメリットの両方を理解しておきましょう。

①メリット

・日中の時間が自由になる
オーバーナイト透析に移行できれば、これまで週に3回通院して、1回あたり4~5時間透析治療を受けていた日中の時間が自由に使えるようになります。仕事や家事を行う時間も作りやすくなり、日常生活を楽しめることで、患者さんのQOL(生活の質)も向上します。

・長時間透析ができる
透析治療の目的は、機能を失った末期腎不全の患者さんの腎臓の役割を代行することです。しかし、健康な腎臓は24時間休みなく働き続けているわけですから、週に3回の透析治療では、機能を充分に取り戻すことはできません。そこで生まれたのが、長時間透析です。

夜間に行う約8時間の長時間透析では、一般的な4~5時間の透析に比べて、患者さんの体に負担をかけず多くの老廃物や水分を取り除くことができます。そのため合併症の発症が減少し、患者さんの体調もよくなります。

透析患者さんの体内にたまりやすいリンやカリウムも多く取り除くことができるので、リン吸着剤やカリウム吸着剤などの服用が不要になるケースもあります。

②デメリット

・夜間は医療スタッフが少ない
オーバーナイト透析を実施しているクリニックの場合、夜間も医療スタッフは勤務していますが、人数は日中より少なくなります。万が一、透析中に患者さんの状態に異変が起きた場合も、医療スタッフによる対応は日中より遅くなるケースがあります。そのため、オーバーナイト透析を受けられるのは、体調が落ち着いている患者さん、血圧が安定している患者さんに限られます。

高齢の患者さんも、オーバーナイト透析に移行することはできません。オーバーナイト透析を希望する場合は、主治医によく相談したうえで検討する必要があります。

・実施している施設が少ない
メリットも多いオーバーナイト透析ですが、実施している施設はまだ多くありません。特に地方には少なく、都市部が中心です。患者さんの自宅や職場から遠いと、通院自体がかえって負担になってしまいます。自宅から近い施設や送迎サービスを行っているクリニックの方が治療を続けやすい場合もあるので、慎重に検討しましょう。

オーバーナイト透析は、夜間の睡眠時間に長時間透析を行う治療法です。時間的制約が少なく、仕事などを続けやすくなること、長時間の透析によってより多くの老廃物や水分を除去できること、患者さんの体への負担が少なくなることなどのメリットがあります。しかし、体調の安定した患者さんや比較的若い方に向いている治療で、実施しているクリニックもまだ少数です。

まとめ

  • オーバーナイト透析は、週に3回就寝中に行う血液透析です。
  • 夜間の時間を利用して透析治療をすることで、日中の時間を有効に使うことができます。
  • オーバーナイト透析では、約8時間の長時間透析を行います。
  • 長時間透析は、より多くの老廃物や水分を取り除くことが可能で、患者さんの体への負担も少なくなります。
  • 透析施設に1泊して行うオーバーナイト透析と、自宅で行う在宅オーバーナイト透析があります。
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  • 在宅オーバーナイト透析では、装置の準備から操作、針刺しなどすべて患者さん自身またはご家族によって実行する必要があります。
  • オーバーナイト透析は、体調が安定している方が受けられる治療で、高齢の患者さんは受けることができません。
  • オーバーナイト透析を実施している施設はまだ少数で、都市部が中心です。