ほぼ1日おきに通院して、半日近くをクリニックで過ごす透析患者さんにとって、透析室で働く看護師さんは、とても身近な存在ですよね。いつもの看護師さんの顔を見るとほっとする、医師になかなか聞けないことも看護師さんになら気軽に聞ける。そんな方も多いのではないのでしょうか。

透析看護師は、採血や血圧チェックなどの医療行為を行うだけでなく、患者さんの生活の悩みに耳を傾け、心に寄りそって、これからずっと続けていくことになる透析治療をサポートしてくれる医療スタッフです。
今回はそんな透析看護師についてご紹介します。

透析看護師の役割とは

透析前機器の準備や確認、針刺し、患者さんの状態観察などを、臨床工学技士と一緒に行うのが、透析看護師の主な役割になります。しかし末期腎不全にともなう血液透析という治療の特性上、透析看護師の仕事はそれだけではありません。

これからずっと透析治療を続けていかなければならない患者さんの心に寄りそうことも大切な役割です。透析患者さん達は、食事制限や水分制限、シャントの管理など、日常生活の中で多くのことに注意しながら、透析治療を続けていかなければなりません。

仕事を続けられなくなり、家族に申し訳ないという思いを抱えている方もいらっしゃるでしょう。
患者さん達の生活指導を行いながら、精神面をサポートしていくことも、透析看護師の仕事になります。

最近では、透析についてさらに専門知識を学んだ『慢性腎臓病療養指導看護師』『透析看護認定看護師』『透析技術認定士』などの資格を取得した看護師も増えています。

透析看護師の1日

透析看護師の1日の仕事の流れをご紹介します。
クリニックによって多少違いはありますが、一般的な流れは次のようになります。

①透析装置の準備

臨床工学技士と一緒に透析装置の準備をします。
装置の操作は臨床工学技士が行いますが、経験を積んだ透析看護師ほど装置についての知識も豊富です。

②ミーティングと申し送り

午前と午後の透析治療に来院予定の患者さんを確認し、担当看護師を決めます。前回の透析治療で、不均衡症候群などの合併症が出た患者さんがいた場合は、申し送りをします。
針を刺しにくい患者さんなどの情報もこの時共有します。

③透析の準備

患者さんを迎え入れて透析治療の準備をします。
この時顔色が悪い患者さんやむくみが強く出ている患者さんがいないかなど、患者さんの様子も確認します。

④患者さんの体重測定

血液透析を受ける人が、最も気をつけなければならないのは、体重の管理です。尿が出なくなった透析患者さんの場合、前回の透析からの体重増加の大部分は、体内にたまった余分な水分の重さです。そのため透析治療前には必ず体重を計って、前回からの増加分を確認します。
歩くことができる患者さんの場合はそのまま体重計に乗ってもらいますが、車いすの方は車いす専用の体重計を使用します。

そして測定した体重を基に、その日の除水量を透析装置に入力します。
過剰な水分は心臓や肺などに大きな負担となり、命に関わる心血管系疾患の原因となります。
ですから患者さんには、あらかじめ体内に余分な水分がたまっていない体重であるドライウエイトが、医師により定められています。

体重管理の目標値は、透析と透析の間隔が中1日の時はドライウエイト(kg)×3%以内、中2日の時はドライウエイト(kg)×5%以内 6%未満です。つまり透析前に体重を計るのは、体重が目標値の範囲内におさまっているかを確認する目的でもあるのです。
目標値の範囲を大きく超えていた方には、後程水分摂取量制限を中心とした生活指導を行います。

⑤採血

月に2~4回程度、採血を行います。
血液中の老廃物(尿素窒素やクレアチニンなど)の量を調べて透析の効果を確認し、カリウム、リン、カルシウム、副甲状腺ホルモン、ヘモグロビンなどの量を調べて、高カリウム血症や高リン血症、骨のトラブルにつながる二次性副甲状腺機能亢進症、貧血などの合併症が起きていないかチェックします。合併症が起きている場合は薬物療法などの対応を行います。

⑥血圧を測る

透析患者さんは高血圧の方が多いので、血圧測定は必ず行い、必要に応じて降圧剤などが処方されます。また透析治療中は血圧が低下するケースが多いため、透析開始後も時々血圧測定を行います。

⑦針を刺す

針を刺すのは、透析看護師が行う場合も臨床工学技士が行う場合もあります。
針を刺して透析を開始した後5分程度は、ベッドサイドで患者さんの状態に変化がないか確認した上で、次の患者さんの透析開始にうつります。

⑧生活相談・健康相談

透析中は、患者さんの生活相談に対応します。毎日の食事のアドバイスや、シャントの保護の工夫などを紹介します。また体調の変化で気になることなどについても聞きとり、医師に伝えます。
ちょっとした雑談の中からも合併症や他の病気が発見できることがあるので、患者さんと看護師のコミュニケーションはとても重要です。
また透析治療に通うことや、生活や食事の制限がストレスとなっている患者さんの話も聞き、精神的なフォローも行います。

⑨フットケア

糖尿病がもとで透析が必要になった方や、高齢の患者さんは、足のトラブルを発症しやすくなっています。
動脈硬化が進行すると、足に血行不良が起こり、しびれや痛みなどの症状が起こります。悪化すると足に潰瘍ができたり、最悪の場合足の切断が必要になることもあります。
透析治療中看護師は患者さんの足に病変がないか確認し、爪の切り方のアドバイスや足湯などを行うこともあります。

⑩午前の患者さんの透析終了と午後の患者さんの準備

午前の患者さんの透析が終了したら、ベッドを整え、午後の患者さんを迎え入れて透析を開始します。

⑪午後の患者さんの透析終了

透析終了後体調悪化した患者さんや血圧が低下した患者さん、止血が確認できない患者さんなどがいる場合は、しばらくクリニック内で様子を見ます。必要に応じて医師が診察し、体調が安定してから帰宅していただきます。

透析看護師は、透析治療に関わる医療行為に加え、患者さんの状態や変化をこまめに観察しています。生活指導や精神的なサポートも行うチーム医療にはなくてはならない存在です。

まとめ

  • 透析看護師は、臨床工学技士と一緒に透析装置の準備や針刺しなどの医療行為を行います。
  • 透析患者さんに生活指導をしたり、精神的なサポートをするのも、透析看護師の重要な役割です。
  • 患者さんを迎え入れた後、毎回体重測定を行います。前回の透析終了後からの体重増加分の大部分は体内にたまった余分な水分なので、その数値をもとに血液透析での除水量を計算します。
  • 体重が増加し過ぎていた患者さんには、水分摂取制限などの生活指導を行います。
  • 透析の効果を確認し、合併症の有無や進行を調べるために、採血を行います。
  • 透析前にも透析中にも血圧測定を行います。透析中は血圧が低下する患者さんが多いので、注意が必要です。
  • 針を刺して透析を開始した後も5分程度は患者さんの様子に変化がないかをみてから、次の患者さんに移ります。
  • 透析中は生活相談や健康相談を行い、患者さんの話を聞きます。
  • 糖尿病がもとで透析に至った患者さんや高齢の患者さんは、足のトラブルを発症しやすいので、透析中にはフットケアを行います。
  • 透析医療といえども医療側と患者さん側との人間的関係が大切となることは論を待たないところですが、その人によって話しやすい相手は様々と思います。より快適に透析生活を過ごしていくためには自分に合った「話しやすい看護師」を見つけていくのもコツと思います。