和風のおかずがいくつも入っている幕の内弁当は、栄養のバランスもよく、一見からだにもよさそうですよね。
しかし市販のお弁当には、保存性の点からも塩分が多い濃いめの味つけで、カリウムやリンなど腎臓の悪い方が控えなければならない成分を多く含んでいるおかずも入っています。
今回は、おかずの種類が多く、比較的食べる機会が多い幕の内弁当の食べ方の工夫についてご紹介します。
お弁当を食べる時に気をつけること、何を残すべきかは、和定食を食べる際や旅先での旅館の食事にも応用できるので、ご参考になさってください。

豆雄豆雄

さあ昼飯の時間だ、美味しそうな幕の内弁当を買ってきたぞ。空も一緒に食べよう


空ちゃん空ちゃん

お父さん、ちょっと待ってよ! お父さんは慢性腎臓病なんだから、食事には気をつけなきゃいけないって、私いつも言ってるよね? そのお弁当、よく見せて


豆雄豆雄

まったくいつもうるさいなあ、空は。ほんとはカレーライスやラーメンが食べたいんだけど、これでも腎臓のことを考えて幕の内弁当にしたんだし、これなら大丈夫だよ


空ちゃん空ちゃん

そんなことないわよ。幕の内弁当にも気をつけないといけないことがいろいろとあるのよ。これから説明するから、ちゃんと聞いてね


豆雄豆雄

わかった、じゃあ頼むよ(そんなことより、早く食べたいなあ……)

見た目以上に塩分やエネルギーも詰まっている幕の内弁当

幕の内弁当のご飯は、見た目以上に量が詰まっていてたくさん入っています。
白いご飯自体は塩分ゼロですが、その上にごま塩がふってあったり、梅干しがのっていたりと、それだけでも塩分が多くなります。
おかずもご飯がすすむ濃いめの味つけの上、焼き魚や卵焼きなどにはリンが多いので注意が必要です。
また野菜の煮物はカリウムが多めです。
つまり慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんの場合全部食べてしまうと、食事療法のルールを守れなくなってしまうのが幕の内弁当なのです。
市販のお弁当には、栄養成分が表示されていることも多いので、買う時に塩分とエネルギーには目を通しておきましょう。

幕の内弁当を食べる時は「全部を食べない」ことが重要

①梅干しなど塩分の多いおかずは残す

お弁当に必ず入っている梅干しはたった1個で塩分約2g~3g、漬物はたくわんなら3枚で塩分約1g~1.5gと非常に塩分が多いので、最初にサッとよけてしまいましょう。
その他卵焼き1切れに約0.2g、焼き鮭2分の1切れに約0.7g、鶏の照り焼き1切れに約0.9gと、おなじみのおかずも塩分が多いものばかりです。
おかずにはしっかりと下味がついているので、添付のソースや醤油は使わずに食べ、少しずつ残す工夫が必要です。

②肉、魚はリンに注意

透析が始まったら制限が必要になるリンは、肉や魚などのたんぱく質食品に多く含まれていますが、部位や種類によってリンの量は変わってきます。
お弁当によく入っている銀鮭や鶏もも肉、豚ヒレ肉などは特にリンが多いので、半分程度残すようにしてください。
卵は卵黄部分にリンを多く含んでいるので、卵焼きは控えめに食べましょう。塩分だけでなく、たんぱく質を制限するためにも、肉、魚、卵は残すようにしましょう。

③加工食品は塩分とリンが多め

かまぼこやちくわ、ウインナーなどの加工食品は、塩分に加えリン酸塩などの添加物が使われています。
リン酸塩に含まれているリンは、食品に含まれるリンよりも体内に吸収されやすいので、リン摂取制限のある透析患者さんは、加工食品を残すようにしましょう。

④野菜の煮物や果物はカリウムに注意

野菜の中でも特にカリウムが多いかぼちゃや芋類の煮物も、幕の内弁当によく見られるおかずです。塩分、カリウムともに多いので、全部食べるのは避けてください。
またトンカツや鶏のから揚げなどに添えられているキャベツの千切りもカリウムに注意です。
生のフルーツが入っていた場合は、カリウムが多いので残しましょう。
パイナップルなど缶詰のフルーツなら、食べても問題ありません。

⑤糖尿病腎症や肥満の方はご飯も残す

ご飯の量が見た目よりも多いのも、幕の内弁当の特徴です。
お茶碗2膳分以上もご飯が入っているものも少なくありません。
から揚げや天ぷらなどの揚げ物が入っていればますますカロリーが高くなります。
糖尿病が原因で慢性腎臓病や透析が必要になった糖尿病性腎症の患者さんや、肥満、メタボリックシンドロームの方は、ご飯は半分を目安にしてください。
揚げ物も半分は残しましょう。
食品を残してしまうことを「もったいない」と考えずに「自分の命こそ惜しけれ」と発想してくださいね。

腎臓病の患者さん用の宅配弁当がおすすめ

バラエティーに富んだご飯がすすむおかずとたっぷりご飯が入っている幕の内弁当を、健康な人と同じように慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんが食べてしまっては、1食で1日の塩分摂取量の目安6gを超えてしまいます。
市販のお弁当にはカリウムやリンも多く、腎臓への負担が大きくなるので、腎臓病の患者さん用の宅配弁当を利用することをおすすめします。
慢性腎臓病の患者さんや透析患者さん用のお弁当なら、バラエティーに富んだおかずが入っていても、塩分、カリウム、リンなどの制限が守られているので、安心して全部食べることができます。
定期的に利用すれば、他の食事での制限が楽になる上に、食材の選び方や味つけの目安、レシピなども参考になりますね。

塩分が多く、おかずによってはカリウムやリンが気になる幕の内弁当は、食べ方の工夫が必要です。
漬物など特に塩分が強いものには手をつけず、他のおかずやご飯も半分程度残すのが目安となります。

空ちゃん空ちゃん

どう、お父さん、わかったかな? 幕の内弁当は慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんにとっては注意点がたくさんあるのよ


豆雄豆雄

わかった、わかった(モグモグモグ)


空ちゃん空ちゃん

わかった、わかったって、お父さん、かなりの勢いで食べてるけど……大丈夫?


豆雄豆雄

大丈夫だよ、梅干しはよけたし、漬物も食べてないよ。それにまあ確かに慢性腎臓病だとは診断されたが、特に自覚症状もないし、空は気にしすぎだと思うんだよな(モグモグモグ)


空ちゃん空ちゃん

うーん、そんなことないと思うけど……まあ好きなものを我慢しすぎるのも良くないっていうし、少しくらいはいいかな


豆雄豆雄

そうこなくっちゃな。それじゃ、トンカツをもう一口だけ……


空ちゃん空ちゃん

ああ! それは食べ過ぎ! お父さんはこの段階でしっかり食事療法を行って、慢性腎臓病の進行を止めなくちゃいけないんだから! 幕の内弁当の食べ方と注意点について、下にまとめておいたから、ちゃんと読んで守ってよ!


豆雄豆雄

わかったわかった。じゃあこのくらいのしておいて、後は残しておくか


空ちゃん空ちゃん

うん、えらいえらい!


豆雄豆雄

(どっちが保護者かわからんな、こりゃ)

まとめ

  • 幕の内弁当は塩分の多いおかずが多いので、全部食べると慢性腎臓病の患者さんや透析患者さんの1日の塩分摂取量の目安6gを超えてしまいます。
  • 梅干しや漬物など特に塩分が多いものには手をつけずに残しましょう。
  • 魚や肉、卵を使ったおかずはリンが多いので、透析患者さんは半分程度を目安にしてください。
  • かまぼこやウインナーなどの加工食品は塩分、リンともに多いので注意してくだい。
  • 野菜の煮物などはカリウムが多いので、半分が目安です。カリウムが特に多い生のフルーツは残しましょう。
  • ご飯の量も多く、揚げ物などで意外に高カロリーなのが幕の内弁当です。糖尿病腎症や、肥満の方は、おかずもご飯も半分程度にしてください。