腎臓のために塩分摂取を控えるように言われても、毎日の食事の中で実践し続けていくのは大変ですよね。
CKD(慢性腎臓病)の食事療法で塩分を減らす目的は、腎臓に負担をかけないようにすることです。
CKD患者さんの腎臓は血液中の余分な塩分を排泄する働きが低下しているため、塩分を多く取ると腎臓の負担が増える上に、血液中に塩分が増えることで、高血圧やむくみの原因につながります。
長年親しんだ味つけを変えるのは大変ですが、減塩にしっかりと取り組むことで、CKDの進行を防ぎ人工透析導入を遅らせることができます。
今回はCKDにおける食事療法の基本中の基本、減塩についてご紹介します。

腎臓を守るためには、塩分摂取をこれまでの半分に

厚生労働省「平成28年国民健康・栄養調査報告」によれば、日本人成人の塩分摂取量は平均10.0gで、男女別に見ると男性は11.0g、女性は9.2gです。
欧米型の食事に比べて健康的な印象がある日本人の食生活ですが、先進国の中では塩分摂取量は多めです。
つまり日本人は元々塩分を取り過ぎている傾向があるのです。
慢性腎臓病と診断された患者さんは、毎日の食事を調整する食事療法を始めることになり、塩分は1日6g未満と指示されます。
6gと言ってもどのくらいかわかりにくいかもしれませんが、目安はこれまでの約半分と考えてください。
実はこの塩分6g未満という数値は、WHO(世界保健機関)がすべての成人に推奨する基準値と同程度です。
健康のために最も適した塩分摂取量と言えるでしょう。
慢性腎臓病の患者さんだけでなく家族全員で塩分の取り過ぎを見直していくことで、減塩を成功させたいですね。
それではなぜ慢性腎臓病の患者さんは塩分摂取量を減らす必要があるのでしょうか。
減塩には2つの目的があります。
腎臓は、毎日体内の老廃物や塩分などをろ過しています。
慢性腎臓病の患者さんはこのろ過機能が低下しているので、体内の塩分を減らすことで腎臓の仕事量を減らし負担を軽減しようというのが、第1の目的です。
また腎機能が低下して塩分の排せつ状態が悪くなると、血液中のナトリウム濃度を下げるために血管内に水分が引き込まれ、高血圧になります。
血圧が上がると、腎臓のろ過機能を担っている糸球体の毛細血管がダメージを受けCKDが進行してしまうので、塩分を控えて腎臓を守ろうというのが第2の目的になります。

CKDの患者さんの塩分摂取量は1日3g以上6g未満

CKD(慢性腎臓病)の患者さんの塩分摂取量の基本は、1日3g以上6g未満です。
CKDステージ1、2で、高血圧がなく、尿タンパク量が1日0.5g未満であれば、男性1日8g未満、女性1日7g未満まで増やすことができます。
CKDステージ4、5でむくみが強い場合は、1日3g以上5g未満となります。塩分摂取は七五三、と覚えるといいでしょう。
このように尿検査の結果や症状、合併症、既往症の有無などに合わせて塩分摂取量が変わることがあるので、主治医の指示に従ってください。
CKDは放置しておくと少しずつ腎機能が低下して、透析療法が必要な末期腎不全になる病気です。
そのスピードをできるだけ緩やかにして腎臓の機能を守るためには、負担をできるだけ減らす塩分の制限が大変重要なのです。

透析患者さんの塩分摂取量は1日6g

透析療法が始まると、老廃物や塩分は透析で除去できるようになるため、進行した慢性腎臓病よりは制限が緩くなります。しかし除去する量が多くなるほど心臓や血管に負担がかかることになるので、食塩摂取量は1日6gを目安にしましょう。
塩分を摂り過ぎて体内に塩分が溜まるとそれを薄めるための余分な水分も溜まることになり、むくみや心不全などの原因になるので注意が必要です。

スポーツ飲料はみそ汁の3分の1の塩分量!知っておきたい塩分が多い料理と食品

外食は塩分の多いメニューが多いので、機会をなるべく減らして、手作りの料理を食べるようにするだけでも塩分摂取量は減らせます。
どうしても外食する機会が多い人は、食べ方の工夫が必要です。
例えばラーメンのスープを全部飲んでしまうと、それだけで1日の塩分摂取量6gを超えてしまいます。スープは残し、チャーシューも塩分の取り過ぎになるので気をつけてください。
牛丼などの丼ものは、ご飯にも塩分の多いたれがしみこんでいるので注意が必要です。

①高カロリーの一品料理

カレーライス(2.5~3.5g)、カツ丼(3~4g)、牛丼(3~4g)、うな丼(4~5g)、中華料理の定食(5.5~7.5g)、ピザ(1.2~3g)、パスタ(2.5~3g)など

②麺類

ラーメン(5~6g)、そば(4~5g)、うどん(4~5g)など。
スープやつゆはもちろん、麺自体にも塩分が含まれています。

③加工食品

ハム、ソーセージ、練り製品、チーズなど。
例えばロースハム1枚、ソーセージ1本、さつま揚げ1枚、スライスチーズ1枚だけでも、それぞれ約0.5gの塩分を含んでいます。

④ドリンク類

スポーツ飲料、野菜ジュース、ゼリー飲料など。
350mlのスポーツ飲料には約0.4gの塩分が含まれています。
これは味噌汁3分の1杯分ほどの塩分に相当します。

塩分を減らす食事法で美味しく塩分制限

塩分を控えた料理を最初は物足りなく感じるかもしれません。
しかしCKDの進行をできるだけ抑え腎臓の機能を守るために、少しずつ慣れていきましょう。
食事を楽しみながら、減塩を成功させるためのコツをご紹介します。

①主食はご飯(白米)がベスト

ご飯なら塩分がゼロですが、その他の主食はうどん1食分で約0.7g、食パン6枚切1枚で約0.8gの塩分を含んでいます。
ご飯以外の主食を選ぶとおかずでの塩分制限がいっそう厳しくなるので、主食にはご飯を選び、献立は和食中心に考えるのがおすすめです。
1日の塩分摂取量を6g以下に抑えるためには、1食の目安は2g以下になります。
しかし和食は意外に高塩分という問題点があります。
1つずつ解決方法を考えていきましょう。

②腎臓に負担をかけない味噌汁とは?

・例えば、具沢山味噌汁 塩分約0.8g

塩分が気になる味噌汁も、工夫次第で塩分を減らすことができます。
まず、具を中心に食べて、汁は残すようにしましょう。
またできるだけ具沢山にすると自然に汁の量を減らすこともできます。
さらに汁物のお椀を浅い器に変えると、汁の量が減るので、塩分摂取量を自然に抑えることができます。
市販のだしのもとは塩分を含んでいるので、昆布やかつおぶしなどを使ってだしをとるようにしましょう。
天然のだしは風味がよく塩分もゼロです。

③主菜には酸味や香辛料を生かして

・例えば、白身魚をニンニクとハーブの香りで蒸焼きにすれば塩分約0.8g
・例えば、薄切り肉と野菜をカレー粉で炒めれば塩分約1.2g

酢やレモン、ゆず、すだちなどの酸味を塩分の代わりに加えると、すっきりと美味しく食べることができます。
例えば魚は煮魚にすると塩分が多くなってしまいますが、焼き魚にしてレモンやゆずなどをしぼって食べれば塩分摂取量を抑えられます。
またこしょう、山椒、七味唐辛子、わさびなどの香辛料を味つけのアクセントとして上手に使いましょう。
カレーの好きな方はカレー粉を活用してください。
カレールーだと1食分で約2gの塩分が含まれているのですが、カレー粉は塩分ゼロ。
カレー粉を使ってスパイシーに仕上げれば、食も進みます。
さらにニンニクや生姜などを使うと、塩を使わなくても肉や魚の臭みを消すことができる上に、香りやうま味が出るのでおすすめです。
ミツバ、ミョウガ、シソ、バジル、パセリなどの香味野菜やハーブ類も料理に取り入れれば、香りと風味が薄味をカバーしてくれるので、塩分が少なくても気になりません。

④塩分ゼロの副菜を1品加える

献立の中の1品を塩分ゼロのおかずに差し替えて、大幅に塩分摂取量を減らしましょう。
素材のうま味や、油、香味野菜などをうまく使うことで、美味しくて満足度の高い塩分ゼロの副菜を作ることができます。
例えば
青菜のおひたし(塩分約0.9g)→ピーナッツバター(食塩を一切含まないもの)和えにすれば塩分ゼロ
野菜炒め(塩分約1.5g)→蒸し野菜にすれば塩分ゼロ
冷やっこ(塩分約2.5g~3g)→香味野菜をのせてごま油をかければ塩分ゼロ

ショートケーキはポテトチップ4分の1袋分!デザートの意外な塩分に要注意

甘いものなら塩分を含んでいないから大丈夫だろうと言われる患者さんがいらっしゃいますが、実はこれは大きな誤解です。
例えばショートケーキの場合は1個で約0.2gの塩分を含んでいます。
これはポテトチップス約4分の1袋とほぼ同じ量になります。
また和菓子もあんの隠し味に塩が使われているものが多いので注意してください。

CKDの初期段階から必要になるのが塩分摂取量の制限です。
腎機能を守る食事療法の要ですから、主治医の指示を守り、積極的に取り組みましょう。
毎日の食事の中でちょっとした工夫を積み重ねることで、食べる喜びを減らすことなく減塩することができます。

まとめ

  • CKDと診断されたら腎機能の低下を防ぐため、塩分摂取量の制限が必要です。
  • 目安は1日6g以下で、これまでの約半分です。
  • 塩分摂取量の制限は、検査結果や症状に合わせて変わるので、主治医の指示に従いましょう。
  • メニューの選び方や調理の工夫で、減塩しましょう。