健康診断で腎臓の機能低下を指摘されたり、慢性の腎臓病を治療している方にとって心配なのは腎不全ですよね。生きていくために欠かせない重要な仕事をしている腎臓。その働きを果たせなくなってしまうことを腎不全と言います。

腎不全は大別すると慢性腎臓病の進行による腎不全と急性腎不全の2種類があり、それぞれ原因と経過も違います。

今回は2種類の腎不全について知っておきたいことをご紹介します。

~空ちゃんの自宅にて~

空ちゃん空ちゃん

お父さんは健康診断で腎臓の数値が悪かったんだよね。最近体調はどう?


豆雄豆雄

時々疲れやすさやだるさを感じるけれど、まあまあかな。


空ちゃん空ちゃん

お医者さんに言われていることはきちんと守って、食事も気をつけてね。


豆雄豆雄

うん、わかってるよ。食事制限はある程度守ってるし、薬もちゃんと飲んでるから、大丈夫だ。


空ちゃん空ちゃん

だけど腎臓は一度悪くなってしまうと、元には戻らないんだから、真剣にならないとダメだよ!


豆雄豆雄

わかってるって。まあでも、まだちょっと注意されたくらいだし、腎不全どころか腎臓病と言われたわけじゃないんだから、そう深刻になるなって。


空ちゃん空ちゃん

お父さん、腎不全のこと、きちんとわかってる?


豆雄豆雄

そう言われると…。いや、なんとなく腎臓がすごく悪くなることなのかなあと…


空ちゃん空ちゃん

お父さんには自覚が足りないと思うけど、その前に知識も足りないのよ。まず病気についての正しい知識を持たないとね。私が腎不全になるしくみから腎不全の種類まで詳しく説明するから、聞いてね。


豆雄豆雄

あ、ああ(娘よ、いったいどこでそんな知識を…)頼むよ

腎不全になるしくみ

①糸球体のダメージで腎機能が悪化

腎臓の細胞は何らかの原因でダメージを受けてしまうと、再生することができないため、機能が低下していってしまいます。腎臓が必要な働きを果たせなくなってしまうことを腎不全といい、慢性腎臓病の進行により徐々に腎臓が機能を失うケースと、短期間で急激に腎機能が悪化するケースがあります。

まず、2種類の腎不全の中でも患者さんが多い慢性腎臓病で、透析療法が必要になる末期腎不全にまで至るしくみについてご紹介します。

全身から腎臓に流れ込んだ血液は、無数に枝分かれした血管を通りながら、糸球体という組織に入っていきます。糸球体は毛細血管がまるで毛玉のようになっている組織であることから、こう名付けられました。

糸球体は、言わば血液をろ過し尿のもとを作るフィルターのようなもの。大きさは0.1㎜~0.2㎜で、左右の腎臓に合計約200万個あります。そのため少々壊れても、残った糸球体の働きで血液をろ過することは可能です。しかし慢性の腎臓病になると糸球体の毛細血管の破壊が進行していきます。つまり、フィルターの網目が荒くなったり、詰まったような状態になるのです。

フィルターの網目が荒くなると、体に必要なたんぱく質が漏れ出すので、尿にたんぱくが混じるようになります。腎臓に問題がある時に検査でよく見られるたんぱく尿は、糸球体でろ過されなかったたんぱくが多量に漏れてしまい尿中に出た状態なのです。

またフィルターの網目が詰まることで老廃物を除去できなくなり、老廃物を含んだままの血液が全身をめぐり、体内に老廃物が蓄積してしまいます。この老廃物が血液検査の数値で発見されます。

こうして腎臓の機能がだんだんと低下していき、腎臓は生きていくために必要な働きを果たせなくなってしまうことに。そして15%未満まで下がると末期腎不全となり、透析治療を始める必要が生じます。

②糸球体の毛細血管を壊す代表的な要因

では糸球体の毛細血管を壊す代表的な要因にはどんなものがあるのでしょうか。まず血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が続く高血糖の病気、つまり糖尿病です。高血糖が続くと、糸球体の血流が悪くなったり、糸球体が硬くなるなどの異常が起こり、腎臓の機能が低下してしまうのです。

また、高血圧も要因のひとつです。血圧の高い状態が続くと血管には動脈硬化が起こりやすくなります。糸球体だけでなく、腎臓自体が血管の塊のような臓器なので、高血圧の影響を大きく受けます。糸球体の血管が狭くなったり詰まることで、血流が低下し、腎臓自体が硬く委縮してしまい、必要な機能を果たせなくなるのです。

また腎臓は血圧を調整する働きもしているので、腎臓が悪くなるとますます高血圧になるという悪循環に陥ってしまいます。その他、肥満やメタボリックシンドローム、脂質異常症なども動脈硬化を進め、腎臓の血管や糸球体にダメージを与えます。

慢性腎臓病の進行で腎臓が機能を失い、末期腎不全に

腎臓機能が一定レベル以下になったままの状態が3ヵ月以上続くと慢性腎臓病と診断されます。現在では、軽度から、中程度、末期腎不全までを段階的に定義する慢性腎臓病の考え方で診断されています。かつての慢性腎不全の定義はあいまいな部分がありますが、腎機能が15%未満にまで下がった末期腎不全のことを指すのが一般的でした。

では、慢性腎臓病にはどんな段階があるのでしょうか。

慢性腎臓病は英語名Chronic Kidney DiseaseからCKDと呼ばれ、重症度は大きく5つのステージに分類されます。慢性腎臓病の怖いところは、最初は自覚症状がほとんどなく、かかっていることに気づかないうちに進行していくところにあります。腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、かなり悪化して腎機能が低下しない限り、症状は出ません。数年かけてゆっくりと進行していきますが、一度低下した腎機能は元には戻りません。そして末期腎不全となり、腎臓の働きを他の方法で代行する人工透析や腎移植が必要になります。

早期の治療で腎機能の回復が望める急性腎不全

急性腎不全は数日間、時には数時間のうちに急激に腎臓の機能が悪化していきます。急性腎不全は原因により、腎臓自体に問題がある『腎性腎不全』、腎臓より下の泌尿器に異常がある『腎後性腎不全』、他の病気や事故などで全身状態が悪化し腎臓に血流がいかなくなった場合に起きる『腎前性腎不全』の3種類に分かれます。もともと腎臓が悪くない方でも発症し、高齢者に多いのが特徴です。

急激に腎臓の働きが失われるため命に関わることもある急性腎不全ですが、早期に適切な治療を行えば腎臓機能は回復することも多いのが特徴。また急性腎不全がきっかけで慢性の腎臓病になったり、急性腎不全を繰り返すことで末期腎不全に移行する患者さんもいます。

徐々に腎臓の働きが低下し回復をみこめなくなる末期腎不全と、急激に悪化するが腎機能が回復することも多い急性腎不全。どちらも早期の適切な対応と治療が重要になります。

空ちゃん空ちゃん

どう、腎不全のことわかった?


豆雄豆雄

ありがとう。よくわかったよ(娘がどんどん成長していくなあ…)


空ちゃん空ちゃん

お父さんの場合は、健康診断の尿検査で異常値が出たことから、腎臓が悪いのがわかったんだよね。


豆雄豆雄

そうなんだよ。特に自覚症状はなかったから、びっくりしたよ。糖尿病でもないし、肥満でもないから、心当たりがなくてなあ。でも塩分の摂り過ぎがよくないって言われたよ。


空ちゃん空ちゃん

慢性の腎臓病になっていても、かなり進行するまで症状が出ないから、そのままほっておく人も多いの。体調が悪くて病院に行ったら、もう腎臓がほとんど機能していない末期腎不全ですと言われて驚く人も多いらしいの。そうならないようにしっかり対策しようね。


豆雄豆雄

ああ、もちろんだよ(でもたまにはラーメン食べてもいいよね?)


空ちゃん空ちゃん

今日のことは下にまとめておいたから、復習しておいてね。私も勉強するから、一緒に頑張ろうね


豆雄豆雄

ああ、頼りにしているよ。よろしく頼むよ

まとめ

  • 腎臓の機能が低下した状態を腎不全と言います。
  • 腎不全には、慢性的な腎機能低下の進行によるものと、腎機能が急激に悪化する急性腎不全があります。
  • 末期腎不全の主な原因は高血糖と高血圧です。
  • ゆっくりと進行し透析が必要な末期腎不全にいたる慢性腎臓病は進行の状態に合わせた治療が重要です。