透析患者さんは、いざという時適切な対応ができるように、腎がんについて正しい知識を持っておきたいですよね。腎がんは、腎臓内にとどまっている早期がんの段階なら手術による治療成績が非常によく、根治的治療が可能な病気です。
今回は腎がんの病期と治療についてご紹介しますので、参考になさってください。

腎がんの病期(ステージ)について

透析患者さんに腎がんが疑われる場合は、専門的ながん医療を行っているがん拠点病院や大学病院などの特定機能病院に紹介されることになります。診療科は泌尿器科です。そこでがんの状態やがんの進行の程度を表す病期(ステージ)を調べ、病期(ステージ)に合わせて治療方針を立てます。

腎がんの病期(ステージ)

がん細胞の大きさや周辺の組織のどこまで広がっているか、他の臓器やリンパ節に転移があるかどうかで病期(ステージ)が決まります。

ステージⅠ

がんの大きさは直径7cm未満で腎臓内にとどまり、リンパ節や他の臓器に転移を認めない。

ステージⅡ

がんの大きさは直径7cm以上で腎臓内にとどまり、リンパ節や他の臓器に転移を認めない。

ステージⅢ

がんは腎臓内にとどまらず、近くの静脈内に広がっているか、リンパ節に1ヶ所転移している。

ステージⅣ

がんがまわりに広がり、肺、肝臓、骨などに転移しているか、2ヶ所以上のリンパ節に転移している。

腎がんの手術治療

腎がんの手術は、腎臓摘出手術が原則です。がんが腎臓にとどまっている早期の段階なら手術による治療成績は非常によく、5年生存率は90%以上です。ステージが進行していて肺や骨などに転移がある場合でも、最初にがんが発生した原発巣である腎臓を摘出し、転移巣もできる限り切除することが一般的です。

腎臓は脂肪組織に包まれているため、がんが発生している腎臓全体と一緒にまわりの脂肪組織と尿管も途中まで切除します。がんが小さい場合は腎臓の一部だけを切除する部分切除を行うこともあります。手術にはお臍(へそ)側から腹腔内を経由して腎臓にアプローチする経腹膜的手術と、背中側から腎臓に到達する後腹膜的手術があります。

また患者さんのがんの状態によってはお腹に小さな穴をあけて内視鏡を入れて手術する腹腔鏡下手術を行うこともあります。腹腔鏡下手術は開腹手術よりも体への負担が少なく、退院も早くなるというメリットがあります。現在では腎臓の手術は腹腔鏡下手術が増加しています。

腎がんの手術以外の治療方法

①腎動脈塞栓術

がん細胞への酸素や栄養の補給を絶つために、腎臓に血液を送っている動脈を塞ぐ方法です。手術ができない腎がんの場合や腎摘出手術の出血を減らすために、手術の1週間程前に行うことがあります。
まず足の付け根の内側にある大腿動脈からカテーテルを挿入します。そしてカテーテルの先を腎動脈まで進めて、腎動脈を塞ぎます。この時同時に動脈に抗がん剤を注入することもあります。腎動脈塞栓術を行うと、一旦がんは小さくなりますが、しばらくすると腎動脈以外の他の血管から酸素や栄養が送られるようになり、またがんは大きくなります。ですから腎動脈塞栓術はあくまでも一時的な治療法で、根治的治療法にはなりません。

②分子標的薬

がん細胞特有の酵素の働きを抑える新しいタイプの抗がん剤で、転移のあるがんに使用されます。
分子標的薬はこれまでの抗がん剤のような強い副作用はあまり見られず、通院治療で服用できるものが多いことも特徴です。

③免疫療法

肺や骨、肝臓などにがんの転移がある場合は、インターフェロン製剤やインターロイキン製剤などを使って、体のリンパ球を活性化させて免疫力を高める治療を行います。インターフェロン製剤やインターロイキン製剤は、発熱や関節の痛みなどの副作用が起きることもあります。転移が少ない場合は、免疫療法を行った後に手術を行う場合もあります。

④抗がん剤治療

腎がんには、あまり効果がないので抗がん剤治療はほとんど行いません。ただ、転移したがんには使用する場合があります。

⑤放射線治療

高エネルギーの放射線によりがん細胞を殺すのが放射線治療ですが、腎がんにはあまり効果がありません。骨や脳に転移した場合は、放射線治療を行うこともあります。

腎がんの再発について

通常がんは治療後5年再発しなければ治ったとみなされますが、腎がんの場合は治療後10~20年後に再発や転移が見つかることがあります。
手術後長い年数が経ってから発生した転移は、手術により根治的治療ができる可能性が高くなります。その場合も早期発見、早期治療が重要になるので、再発や転移がないか定期的にCT、超音波検査などを行い、長期的に経過観察を行います。
特に肺への転移が起こりやすいので、胸部X線撮影が必要になります。

腎がんは、できるだけ早く見つけて切除手術をすることが鉄則です。がんが腎臓内にとどまっている早期なら治療成績が非常に良いです。手術は腎臓とまわりの組織を切除することが一般的で、転移がある場合は分子標的薬での治療や免疫療法などを合わせて行います。

まとめ

  • 腎がんは早期に発見できれば手術で根治することが可能です。
  • 腎がんは病期(ステージ)によって治療法が変わってきます。リンパ節や他臓器への転移がなければ、腎臓摘出手術を行います。
  • 腎がんの手術では、腎臓と周囲の脂肪組織、尿管も途中まで切除します。
  • 転移が見られる場合は、分子標的薬での治療や免疫療法を行います。
  • 腎がんは10~20年後に再発や転移が見られることもあるので、定期的な検査を行い長期的に経過観察をします。