心不全など透析患者さんの命に関わる心血管系疾患は、透析と透析の間が2日空いた時に起こりやすいと聞くととても心配になりますよね。事実、病状悪化や入院などもその時に起こりやすく、透析患者さんが元気で長生きするためには、中2日の過ごし方が大変重要になります。

今回は透析と透析の間が2日空く時の過ごし方や注意点についてご紹介します。患者さんご自身はもちろん、ご家族もどうぞ参考になさってください。

命を脅かす過剰な水分がたまる中2日

健康な人の腎臓は、365日24時間休みなく働き、体内の水分量を調節し、老廃物の排泄を行っています。しかし末期腎不全の患者さんにはこの腎臓の働きがありません。透析と透析の間にたまった水分や老廃物を血液透析で除去することになります。

透析クリニックに週に3回通院して血液透析を受けている患者さんは、1週間のうち透析と透析の間が1日空くことが2回、2日空くことが1回あります。

この間、尿が出なくなった透析患者さんは、体から出ていく水分よりも食べ物や飲み物から摂取する水分の方が多くなり、体内に水がたまり体重が増えることになります。

筋肉や脂肪などは短期間に増えることはないため、血液透析を受けた後、次の透析までの体重増加のほとんどは体にたまった水分によるものです。ですから気をつけないと中2日の時は中1日の時のほぼ倍量の水分が体内にたまることになります。水分が増え過ぎた状態が続くと、心臓や肺、血管などに負担がかかり、心不全など命に関わる合併症につながり、大変危険です。

過剰な水分が心臓に与える影響について

ではなぜ体内に水分がたまると、心臓に負担がかかるのでしょうか。人間の体は約60%が水分で構成されていて、血液の液状部分である血漿はその約12分の1を占めています。例えば体重が50㎏の人なら、体内の総水分量は約30Lで、血漿は2.5Lです。

健康な人の場合は水分を多く摂っても腎臓が尿として排泄するので、体内の総水分量や血漿の量は一定に保たれますしかし透析患者さんは、尿として排泄することができません。例えば50㎏の方が53㎏に増えた場合、3kgはすべて水分です。ですから総水分量は33Lとなり血漿は2.75Lになります。

この血漿の量の増加は心臓の仕事量を大きく増やします。より多くの血液を拍出しなければならなくなることで、心筋はゴムのように伸びきってしまい、心臓の機能も大きく低下します。そして一度伸びてしまった心筋は元に戻ることはありません。

このように過剰な水分で心臓が働かなくなって起きるのがうっ血性心不全です。心不全は透析患者さんの死亡原因の1位で、全体の2割以上を占めています。(2016年末の慢性透析患者に関する集計導入患者の死亡原因より

中2日以上の時の体重増加はドライウエイト×6%未満に

透析患者さんが日常生活で最も注意しなければならないのは、透析と透析の間の体内の水分量増加、つまり体重の増え過ぎです。体重の管理は、ドライウエイトをもとに行います。

ドライウエイトとは、体内に余分な水分がなくなった状態の体重を推定した数値で、胸部レントゲン検査などをもとに医師が設定します。透析を行う時は体重がドライウエイトの数値になるまで除水し、透析と透析の間の体重増加の許容範囲もドライウエイトをもとに算定します。

体重増加の目標値は
・中1日 ドライウエイト(㎏)×3%以内
・中2日 ドライウエイト(㎏)×6%未満
です。

例えばドライウエイトが50㎏の方なら、中1日の場合1.5㎏以内、中2日では3.0㎏未満です。
透析と透析の間隔が2日空くときは、自宅でもまめに体重を計って、体重が増え過ぎていないか確認しておきましょう。一般に周囲の人たちは腎臓病に対する注意事項を知りません。それゆえ善意から「飲み食い」を進めてくることが多々あるかと思います。「自分の身は自分で守る」しかありませんので周囲からの誘惑は上手にかわすようにして下さい。

中2日の時摂ってもいい水分量は?

透析患者さんの飲水量の目安は、1日500ml以内を心がけてください。透析の間隔が2日空く場合は、余分な水分がたまりやすくなるので、水分制限はより厳しく守る必要があります。

飲み物や汁物などから摂ってもいい水分は、1日あたり約500mlが目安になります。500mlペットボトル1本程度が、1日に飲んでもいい量と覚えておいてください。そして意外に見落としがちなのが、薬を飲む時の水です。1日に摂った総水分量がわかるように、マイカップなどを決めておくのもおすすめです。

塩分、カリウム、リンなどの摂取量にも注意

透析と透析の間に体内にたまるのは、水分だけではありません。塩分、カリウム、リンなどにも注意が必要です。これらも中2日の時は中1日の時より体内に残りやすくなるので、食事制限はしっかり守るようにしてください。

①塩分は1日6g未満に

塩分を摂り過ぎると、どうしても水分が欲しくなります。また健康な人の場合は余分な塩分は尿として排出されますが、透析患者さんの場合は次の透析まで体内に残り続けることになります。塩分は高血圧の原因にもなります。

②カリウムは1日1.5g未満に

高カリウム血症は、悪心や嘔吐、顔面のしびれ、筋脱力感などを引き起こします。重症になると不整脈の原因となり命に関わることもあります。

透析の間隔が空くと血中のカリウム濃度が高くなりやすいので、食品からのカリウム摂取には気をつけましょう。透析前の血液検査で血清K濃度5.5mEql未満を目指してください。血液データが落ち着いたら、摂取量を調節していくことができます。

③リンは1日800mg未満に

リンはほとんどの食品に含まれていますが、1回の透析で除去できるのは約800~1000mgです。透析患者さんは透析導入前よりもタンパク質制限は緩和されますが、タンパク質の1~2%はリンなので、摂り過ぎは禁物です。

透析と透析の間が2日空く時は、水分管理を徹底して、体重が増え過ぎないように気をつけましょう。また塩分、カリウム、リンなども体内にたまりやすくなるので、食事制限はしっかり守る必要があります。万が一自宅で体調が悪化した時も速やかな対応ができるように、ご家族も気をつけてあげてください。

まとめ

  • 透析と透析の間が2日空く時は、体内に水分や老廃物がたまりやすくなるので、注意が必要です。
  • 過剰な水分は心不全など命に関わる病気につながります。
  • 透析と透析の間の体重増加はドライウエイトをもとに管理します。中1日の時はドライウエイト3%以内、中2日以上の時はドライウエイト6%未満が目安です。
  • 体重の増え過ぎを防ぐために、飲水量は1日約500ml以内をまもってください。
  • 中2日の時は、塩分、カリウム、リンなどの食事制限にもより一層気をつける必要があります。