デザートや間食に食べたいのが、口当たりがよくてみずみずしい果物ですよね。しかし、生の果物は、透析患者さんが制限しなければいけないカリウムを多く含んでいるため、食べ方には注意が必要です。
果物の中には、カリウム含有量が特に多いものもあれば、比較的少ないものもあります。選び方、食べ方を正しく知っておきましょう。

今回は透析患者さんが、カリウム制限を守りながら果物を食べるためのポイントについてご紹介します。
すでに透析治療を受けている方も、これから透析導入をする方も、どうぞご参考になさってください。

透析中の食事の基本

通院しながら受ける血液透析では、体内にたまった2~3日分の老廃物や水分を集中して除去していきます。しかし、除去できる量には限りがあるため、透析患者さんは水分や食事の制限をする必要があります。

透析中の食事の基本は、水分摂取量を減らすこと、塩分制限を守ること、そしてカリウムやリンを取り過ぎないことです。そして透析患者さんにとって特に問題になるのが、カリウムです。カリウムは主に筋肉の収縮に関係する成分で、体内に過剰にたまった高カリウム血症になると、筋肉の麻痺を引き起こします。

軽症の場合は手足のしびれ程度ですが、体内のカリウム量がさらに多くなり重症になると、心臓の筋肉まで麻痺し、命に関わる不整脈につながることもあります。

カリウムはほとんどの食品に含まれている成分ですが、特に多く含まれているのが生の野菜や果物です。
カリウムには水に溶けやすい性質があるため、野菜は細かく切って水にさらしたり、下ゆでしたりすることで、摂取量を減らすことができます。しかし、果物の場合は、そういった調理の工夫をすることができません。カリウム含有量は果物の種類によって差があるので、比較的カリウム量の少ない物を選んで食べ、カリウム量の多いものは避けるか、たまに少量だけ楽しむようにしてください。

透析患者さんにおすすめの果物、控えたい果物

一般的な食事で1日に摂取するカリウム量は、3000~4000mg程度です。健康な人の場合はその約90%を尿中に排泄しています。しかし、尿が出なくなった透析患者さんの場合は、血液透析で取り除ける量にも限りがあるため、カリウムの制限が必要になります。透析治療中の1日のカリウム摂取量の目安は、1500mg以下です。

バランスのよい 食生活を続けるためには、カリウムを含む野菜も食べることになるので、果物から摂取するカリウムの目安は1日75~90mg程度と考えてください。

【透析患者さんにおすすめの果物】

・いちご
100gあたりのカリウム含有量は、170mgと中程度です。1粒に約25mgのカリウムを含んでいるので、他の果物を食べない場合は1日3粒までが目安です。また、食べる前にしばらく水にさらすことで、カリウムを減らすことができます。
いちごはビタミンCが豊富な果物で、風邪予防に効果的です。
さらに血糖値の急上昇を抑制し、腸内の善玉菌を増やすペクチンという水溶性食物繊維も豊富です。

・りんご
100gあたりのカリウム含有量は、120mgと比較的少なめです。小さめのりんごなら1個は約200gなので、1日3分の1程度が目安になります。
りんごも水にさらしてカリウム量を減らしてから食べましょう。できるだけ薄く切って水に触れる面積を多くすると、さらに効果的です。
皮には便秘予防に効果的な食物繊維や抗酸化作用のあるアントシアニンが含まれているので、皮ごと食べることをおすすめします。

・なし
100gあたりのカリウム含有量は、140mgと比較的少なめです。小さめの梨は1個約200gなので、1日4分の1程度が目安と考えてください。
シャキシャキとした独特の食感のもとになっているのは、リグニンとペントザンというなし特有の食物繊維です。
リグニンやペントザンは植物の皮部分などに多く含まれるため、通常はあまり摂る機会がないのですが、なし なら美味しく摂取することができます。
リグニンやペントザンには、腸のぜん動運動をうながし、便通を改善する効果があります。
また、低カロリーなので、肥満やメタボリックシンドロームの方にもおすすめです。

・果物の缶詰
果物の缶詰は加熱処理をしてあるため、生の果物よりカリウム含有量が減っています。コンビニなどでよく見かけるフルーツのシロップづけのパックも同様です。
例えば生の桃は1切れあたり約60mgのカリウムを含んでいますが、缶詰の場合は1切れ約30mgと、ほぼ半分になります。みかんも1個あたり150~170mgのカリウムを含んでいますが、缶詰なら20粒食べても75mg程度です。
しかし、シロップにはカリウムが溶け出しているので、残すようにしてください。

【透析患者さんが控えたい果物】

・バナナ
消化のいいエネルギー源で、身近な果物の代表とも言 えるバナナですが、カリウムが大変多いのも特徴です。100gあたり360mgのカリウムを含んでいて、1本で約600mgもの量になります。透析患者さんが控えるべき果物として覚えておいてください。

・キウイフルーツ
ビタミンC、Eなどが豊富で栄養価の高いキウイフルーツですが、カリウムも100gあたり約290mgと多く含んでいるので、透析患者さんは注意が必要です。キウイフルーツは1個が約100gなので、食べる場合は4分の1程度にしておきましょう。

・メロン
メロンは100gあたり、カリウム含有量が350mgです。中程度の大きさのメロンは300g以上あるので、それだけで1000mg以上のカリウム量になってしまいます。
お見舞いにも使われることが多いメロンですが、腎臓が悪い人には控えるようにしてください。小さめの1切れが約25gで、カリウム含有量は87.5mgです。お弁当や定食についている時も、たまに食べる程度にしておきましょう。

・アボガド
料理にもよく使われる栄養価が非常に高い果物ですが、100gあたり720mgと大変多くのカリウムを含んでいます。アボガドそのものを食べるのは避け、料理に入っていた場合は残すようにした方がいいでしょう。

・ドライフルーツ
果物の旨味が凝縮され栄養価も高いドライフルーツですが、カリウム含有量が非常に多いので気をつけてください。例えば干し柿は100gあたり670mgのカリウムを含んでいます。大きめの干し柿が約50gなので、その5分の1程度が1日の目安量になります。レーズンの場合は100gあたり740mgのカリウムを含んでいますので、1日10~15粒程度にしておきましょう。

透析患者さんが制限しなければならないカリウムを多く含んでいるのが、生の果物です。できるだけカリウムの少ない種類を選んだり、果物の缶詰にしたりするなどの工夫を心がけましょう。

まとめ

  • 尿が出なくなった透析患者さんは、体内にカリウムが過剰にたまりやすくなります。
  • 高カリウム血症になると、手足のしびれなどが起き、重症の場合は不整脈を発症し、命に関わることもあります。
  • 血液透析で取り除いても限度があるので、カリウム摂取制限が必要になります。
  • カリウムは、生の野菜や果物に多く含まれています。果物からの摂取量は1日75~90mg程度におさえましょう。
  • ドライフルーツは少量でもカリウムを多く含んでいるので、気をつけましょう。