腎臓の病気は、目立った自覚症状がほとんどありません。知らないうちに進行していて、気づいた時には人工透析の手前まで悪化していることが多いと聞くと心配になりますよね。

腎臓は沈黙の臓器とも言われ、病気になっても症状が出ないことも少なくありません。しかし病状が進むにしたがって、腎機能の低下とともにさまざまなサインが現れてきます。早い段階で対応できれば、早期治療で進行を遅らせることもできます。今回は腎臓病の初期症状についてご紹介しますので、ぜひご参考になさってください。

むくみは腎臓からのSOS

むくみは、腎臓の悪い患者さんの症状の代表的なものです。むくみとは、正確には組織間液という細胞と毛細血管の間にある液が異常にたまってしまった状態のことを言います。腎臓病になるとむくみが起きる原因は主に2つあります。

1つめは、尿を作ることができなくなり体内に水分がたまることで、組織間液も増えるためです。
2つめは、血液中のタンパク質に関係があります。健康な人の血液中にはタンパク質が存在していて、組織間液の水分を血管内に引き込む作用があります。

しかし腎臓の病気になると、血液中のタンパク質は尿の中に出てしまいます。そのため組織間液から水分を引き込めなくなり、むくみを引き起こします。むくみが特に現れやすいのは朝です。むくみが特に出やすい場所をご紹介しますので、時々自分でチェックするようにしてください。

①顔

顔の中で特にむくみやすいのは、目もとです。
朝起きた直後にまぶたが腫れぼったくなったり、目のまわりが腫れたようになる方も多いです。

②手の指

手の指がむくむことで、これまではちょうどよいサイズだった指輪がきつくなったり、指が曲げにくくなることもあります。

③背中や腰

腰のだるさや重さを感じるのは、背中や腰のむくみが原因になっていることもあります。

④すねや足の甲

靴がきつくなったり、靴下のゴムの跡がはっきりと深く残るようになります。すねや足の甲を強く押すとくぼんだまましばらく戻らないこともあります。

むくみは腎臓病の特徴的な症状ですが、心臓の病気や肝臓の病気でも出ることがあります。特に心不全のような命に関わる病気も、血液が心臓に戻れなくなることで、全身や肺に水がたまりむくみが見られます。むくみが続くようなら専門医を受診して、「なぜむくむものか」「むくみの原因はどこにあるのか」を突き止めることも大切です。

尿の色・状態をチェック

尿の異常は腎臓の病気の重要なサイン。自分で確認することができます。朝起きてすぐの尿の状態をチェックするようにしましょう。
健康な人の尿は、薄い黄色か薄い黄褐色です。次のような尿が出た場合は、すぐに受診するようにしましょう。

血尿

赤褐色やコーラ色の尿は、腎臓または尿路に異常がある可能性があります。尿が赤くにごり明らかに血尿になっているのがわかる状態を肉眼的血尿と言い、見た目にはわからないけれど検査をすると潜血反応が陽性になる状態を顕微鏡的血尿と言います。

血尿は多くの病気に見られる症状ですが、肉眼的血尿が見られた場合、腎臓病では慢性糸球体腎炎(IgA腎症)の可能性があります。
また風邪などで熱が出た時に血尿が見られた場合は、IgA腎症の可能性が高くなります。

腎臓の病気以外に、膀胱腫瘍や尿路の結石、腎腫瘍などの場合もあるので、排尿痛などの症状がなくても血尿が出たら早急に詳しい検査を受けてください。

膿尿

尿路に炎症が起きていると、尿に白血球が混じり白く濁ります。刺激臭がある場合もあります。一般的には排尿痛などの排尿時に不快な症状を伴います。

糖尿

糖尿病で血糖値が高くなると尿に糖が出ます。甘いにおいがする場合もあります。

タンパク尿

尿にタンパクが混じると泡立つことがあります。健康な人の場合でも尿が泡立つこともありますが、泡はすぐに消えます。泡立ちがなかなか消えなかったり、毎日続くようなら、尿の中にタンパクが含まれている可能性が高くなります。タンパク尿は、腎臓や尿路の病気が考えられます。

尿の量が多くても少なくても要注意

体内の水分量を一定に保つために尿の量を調整することは、腎臓の重要な働きの1つです。例えば飲み物をたくさん摂った時は尿の量や回数が増え、逆に大量に汗をかいた時は尿の量が減るのはどなたでも経験があることでしょう。ですから1日の尿の量や回数を確認することは、腎臓の働きに異常がないかどうかを知る目安になります。夜間頻尿(寝ている間にトイレに起きる回数)が平均して3回以上になれば明らかな異常といえます。

尿の量を正確に調べるためには、畜尿という方法があります。畜尿は1日24時間の尿をためて調べる方法です。畜尿の詳しいやり方については腎臓の専門家がいる医療機関なら指導を受けられるので、気になる場合は相談してみることをおすすめします。

健康な人の場合

1日の平均的な尿の量は500ml~2000mlが正常範囲とされています。トイレに行く回数は3回~10回程度で、1回あたりの尿の量は300ml~500mlです。

尿の量が少ない場合

1日の尿の量が400ml以下を乏尿、100ml以下を無尿と言います。体重1Kgあたり1分間に約1ccの尿を作ります。体重60Kgの人は1時間で60ccの尿量となります。個人差はありますが、約200ccの尿が膀胱に溜まると尿意を感じます。ですから日中は3~4時間でトイレに行きたくなるのが一般的です。腎臓への血流が悪くなっている場合などには、乏尿になります。

尿の量が多い場合

1日の尿の量が3000mlを多尿と言い、排尿回数が10回以上になると頻尿と言います。この場合も腎臓や尿路の働きが悪くなっている可能性があります。

腎臓に異常がなくても年齢とともに尿の量は少なくなります。特に高齢になると1日あたりの尿の総量は減少しますが、トイレに行く回数は増え、1回あたりの尿の量は減少します。しかし排尿回数や尿の量が気になる時は、年齢的変化なのか腎臓に問題があるのか、医師に相談するようにしましょう。

腎機能低下の可能性が高い夜間多尿

夜間の尿の回数にも注意が必要です。健康な人の場合は0回~1回なので、夜中に何度もトイレに行くようなら、腎機能が低下している可能性が高くなります。一晩に2回も3回もトイレに起きるようになり、そのたびにかなりの量が出るような状態を夜間多尿と言います。

ではなぜ腎機能が低下すると、多尿になるのでしょうか。健康な腎臓には、尿を濃縮して尿の量を調節する力があります。腎臓の病気になるとこの濃縮する力が衰えるため、薄い尿しか出せなくなります。しかし体外に排出しなければならない老廃物や毒素の量は変わりません。そのため尿の量が増え、多尿になるというわけなのです。

多尿は特に夜間に起きやすい特徴があり、夜中に何度も起きることになります。50代以上の男性であれば夜間頻尿は前立腺肥大症にかかっている可能性も高いので注意が必要です。

腎臓病に限らず他の病気でも、早期発見、早期治療は大変重要です。できるだけ早く適切な対応ができるかどうかでその後の経過は大きく変わってきます。自覚症状が出にくい腎臓の病気ですが、むくみや尿の変化など見える症状もあります。少しでもいつもと違うことがあったら早めに受診することをおすすめします。

まとめ

  • 腎臓の病気は自覚症状が出にくく、気づいた時には透析が必要な状態まで進行していたというケースも少なくありません。
  • むくみは腎臓が悪くなった場合に現れる代表的な症状です。
  • 腎臓に何らかの異常が起きると体内に余分な水分がたまるようになり、むくみが起きます。
  • 症状が現れやすいのは朝で、顔、手の指、背中や腰、すねや足の甲がむくみやすい部分です。
  • 尿の異常は、腎臓の病気の大きなサインです。腎臓に異常があると、尿の色や量、回数が変わります。
  • 夜中に何度もトイレに起きる夜間多尿が見られる場合は、腎機能が低下している可能性が高くなります。