Q者

ドライウエイトとは、何ですか


川田川田

ひと言で言うと、透析患者さんの体に余分な水分がたまっていない時の体重です。
腎臓が正常な働きを果たしている健康な人の場合は、余分な水分は尿として体の外に排泄されていくので、体の中にたまることはありません。
しかし末期腎不全となり人工透析を受けている患者さんの場合は、尿が出ないため、この余分な水分の排泄をすることができません。
ですから透析と透析の間には、水分が体内に溜まったままになります。
つまり透析を受けた後、次の透析までの間には体重が増えることになるのですが、これはほとんど水分です。
人工透析ではこの水分を取り除いて、終了時にはドライウエイトを目標体重とします


Q者

ドライウエイトは、いつ決めるのですか


川田川田

透析導入の時に決めますが、その後の透析の度に主治医が患者さんの状態を見ながら算出し直すこともあります


Q者

ドライウエイトはどのように決めるのでしょうか


川田川田

ではまず体内に余分な水分がたまっている時はどんな状態になっているかという点から説明しますね。
水分が多いことによって血液量が増えます。
そのため全身の血管の中を多くの血液が流れることになり、血圧が上がります。
また心臓は、ポンプ活動が増え負担がかかることで、心筋が伸び肥大化します。
ですから余分な水分のない状態とは、これらの逆を考えればいいのです。
血圧と心臓の大きさが正常になるように、主治医がドライウエイトを算定します。
心臓の大きさは、心胸比という胸郭(胸の大きさ)と心臓の大きさの比が男性は50%以下、女性は55%以下になるように設定します


Q者

透析から次の透析までの間に溜まった水分を血液透析で除水して、ドライウエイトに戻すというわけなのですね


川田川田

そうです。しかし1回の透析で取り除ける水分には限りがあるので、水分で体重が増えすぎないように注意する必要があります


Q者

体重増加量はどのくらいまでを目安とすればいいでしょうか


川田川田

週に3回透析を受けていると、間隔が1日の場合と2日の場合がありますよね。
中1日の場合は体重増加が3%以内まで、中2日以上の場合は6%未満までになるようにしてください


Q者

なるほど。体重が50kgの私の場合は、中1日では50kg×0.03=1.5kg、中2日以上では50kg×0.06=3.0kgまでの体重増加なら大丈夫ということになりますね


川田川田

はい。1日あたり700~800g以内の体重増加を目安と考えてください


Q者

水分摂取量をどのくらいまでにすれば、その体重増加を守れるでしょうか


川田川田

透析患者さんの1日の体重増加量=体内に入ってくる水分量-体外に出ていく水分量
と、覚えておいてください。
体外に出ていく水分量は、尿が出なくなった透析患者さんの場合は、汗や呼吸、便に含まれるものだけになります


Q者

それは、どのくらいの量になりますか


川田川田

便に含まれる水分量は、日によって多少違いますが、1日約150ml前後です。
皮膚の乾燥や軌道から呼吸で出ていく水分もあり、これは不感蒸泄と呼ばれていますが、その量は、1日体重1kgあたり15ml前後です。
ですから体重が50kgの患者さんの場合は、50kg×15ml=750ml前後となり、便の分も合わせると約900mlとなります


Q者

では体内に入ってくる水分量はどのくらいになるのでしょう


川田川田

まず飲みもので取らなくても食材自体に含まれる水分があります。
これが1日3食分を合わせると1000ml前後になります


Q者

食材に含まれる水分は意外に多いのですね


川田川田

それから代謝水というものがあります。
これは、食事から取ったもの、主に糖質や脂質を分解する時に化学反応によって生じる水分で、1日あたり約200mlです


Q者

ということは、体内に入ってくる水分は飲み物以外で1000ml+200ml=1200mlになりますね


川田川田

つまり、体内に入ってくる水分量1200ml+飲み物から取る水分量-体外に出ていく水分量900ml≦1日の体重増加量700~800gとなればいいので、1日に取ってもいい飲み物の量は500ml程度と考えてください


Q者

1日500ml以下は、かなり厳しいですね


川田川田

透析患者さんの水分制限は確かに厳しいのですが、体内の水分量が増えることは、特に心臓に大きな負担がかかることになるので、透析患者さんが元気で長生きするためには水分コントロールは大変重要になります。
1日に500mlにコントロールする目安は毎食後に150ml、また夜の服薬や風呂上がりの水分として50mlと見当をつければ1日の飲水量は500mlになります。150mlは普通の湯飲み茶わんで八分目といったところでしょうか。
透析療法で除水できるといっても、水分で体重が増えすぎた患者さんの場合、無理にドライウエイトまで戻すと血圧が下がりすぎて、めまいや倦怠感などが強く出ることがあります。
またまだ透析に体が慣れていない最初の頃は除水を多く行うと、不均衡症候群などの合併症が出やすくなります。
除水量が足りず、体内の水分量が増えすぎた状態が続くと血液量が増え、血管や心臓、肺などへの負担が大きくなり、心不全などの合併症につながることになってしまうんです


Q者

水分制限は、透析患者の命に関わることなんですね


川田川田

そうなんです。ですから、患者さんと医師が共有しやすいドライウエイトという目安を設定し、患者さんは自己管理を、医師は除水を行います。
そういう意味では透析療法は患者さんと医師の共同作業で成り立つ治療法と言えるかもしれません


Q者

よくわかりました。
理屈が理解できていれば、水分制限も頑張れそうです。
ところで透析療法は一度始めたら一生続けていくことになりますよね。
長い間には食事などの影響で体重が減ったり増えたりすることもあると思うのですが、その場合はドライウエイトの設定はどうなるのでしょうか


川田川田

栄養状態などの影響で患者さんの体重が変わった時は、その状態に合わせてドライウエイトを設定し直して、透析治療を行います。
体重の変化が著しい時は、その原因にも着目することになります。
糖尿病が原因で腎臓が悪くなり透析治療に至った糖尿病性腎症の患者さんやメタボリックシンドロームの患者さんは、体重増加により高血圧の悪化などを引き起こすことがあります。
また逆に体重が減っている場合は、合併症や他の消化器の病気などが隠れていないか調べる必要があります


Q者

体重の変化に気をつけていれば、他の病気を併発した時も早期に適切な対応ができるので安心ですね


川田川田

はい、体重の変化は患者さんの状態を正しく知る上で重要な指標の1つになります。
人工透析では、患者さんの体に余分な水分が含まれていない体重であるドライウエイトを目標に除水していきます。水分のとり取り過ぎで体重が増えすぎないように、透析と透析の間の日常生活の過ごし方には注意することが必要です

まとめ

  • ドライウエイトとは、体から余分な水分を取り除いた時の体重です。
  • 体に余分な水分がない体重は、血圧が正常で心胸比が男性は50%以下、女性は55%以下の時の体重です。
  • 人工透析では、体重がドライウエイトの数値になるまで除水を行います。
  • 人工透析で除水できる水分量には限りがあるので、透析と透析の間は水分摂取量に気をつける必要があります。
  • 飲み物からの水分摂取量の目安は、1日約500mlです。
  • 体重管理の目標値は透析と透析の間が1日の場合はドライウエイト(kg)×3%以内、2日以上の場合はドライウエイト(kg)×6%未満です。
  • 水分の取り過ぎで体重が増えすぎている場合、無理にドライウエイトの設定値まで除水すると血圧が下がり過ぎてめまいなどが起きることがあります。
  • 除水しきれないと心臓に負担がかかり心血管疾患の原因になります。
  • 栄養状態や体調などの影響で患者さんの体重が変化した時は、ドライウエイトも設定し直して対応します。