毎日の食事には気をつけている透析患者さんも、飲み物に対する注意はつい忘れがちですよね。
そのため、飲み物から摂っていた成分が原因で、血液検査の結果が悪くなったり、高リン血症や高カリウム血症を発症してしまったりするというケースもあります。

飲み物には、透析患者さんが制限しなければならないリンやカリウムを多く含むものもあれば、あまり含んでいないものもあります。
似たような飲み物でも実はリンやカリウムの含有量が大きく違うので、正しい選び方を知っておけば、無理なく食事制限を続けることができます。

今回は透析患者さんの飲み物についてご紹介します。

飲み物に含まれるリンやカリウムに注意

健康な人の場合は、腎臓の働きにより、食事や飲み物から摂ったカリウムの約90%、リンの約60~70%が尿中に排泄されています。
透析療法では機能を失った腎臓の代わりに、血液中のカリウムやリンを除去するのですが、限度があります。そのため、食事制限をして血液中に増え過ぎないようにして、場合によっては薬物療法を行うことになります。

どちらもほとんどの食品に含まれているのですが、リンが特に多いのは肉や魚、乳製品などのタンパク質、カリウムは生野菜や果物です。
しかし、それだけでなく、毎日の生活の中で口にすることが多い飲み物にも、リンやカリウムが多い物があることを知っておきましょう。
栄養バランスのよい食生活を続けるためには、肉や魚、野菜などは、ある程度食べることになります。

飲み物からリン、カリウムの摂取はできるたけ少なくすることをおすすめします。

透析患者さんにおすすめの飲み物、控えたい飲み物

種類によってリンやカリウムの量が大きく違うので、特に多いものと比較的少ないものを覚えておきましょう。

お茶は、玉露、抹茶を避けて、麦茶や玄米茶を

100mlあたり玉露は340mg、抹茶は81mgと非常に多くのカリウムを含んでいます。麦茶なら6mg、玄米茶なら7mgとカリウム量が少なく安心です。

また、お茶は抽出時間が長いほどカリウムが多く溶け出します。やや薄いと感じるくらいで飲むようにするのもポイントです。

コーヒーより紅茶を

コーヒーは100mlあたり65mgのカリウムを含んでいますが、紅茶なら8mgです。コーヒーか紅茶を選ぶ時は、紅茶と覚えておきましょう。

牛乳はリンが多め

牛乳は100ml中93mgのリンを含んでいるので、透析患者さんは控えた方がいい食品 です。カルシウムを摂りたい場合は、牛乳の代わりに乳酸菌飲料をおすすめします。

乳酸菌飲料はリンが比較的少なく、腸内環境を改善する効果が期待できるので、便秘対策になるというメリットもあります。
牛乳に近い味のものが飲みたい場合は、普通の牛乳よりリンやカリウムの量を大幅におさえた 透析患者さん用の低リン牛乳を利用しましょう。

塩分が多いスポーツドリンク

スポーツドリンクは、塩分やカリウムを多く含んでいるため、飲み過ぎに注意してください。種類により塩分の量は違いますが、100mlあたり0.1g前後のものが一般的です。ボトルに栄養成分表などでナトリウム量が表示されているので、飲む前に確認するようにしましょう。

塩分量は正確には
塩分量(g)=ナトリウム量(mg)×2.54÷1000
で求められますが

ナトリウム約400mgが塩分1gと覚えておいてください。
また、糖分も多いので、糖尿病がある方や肥満の方は控えましょう。

カリウムが多いジュース類

カリウムは水に溶けやすい性質があるため、果物や野菜のジュースには、非常に多く含まれています。透析患者さんは、ジュース類を控えるようにしてください。

野菜不足解消や便秘対策に野菜ジュースを飲みたいという方がいらっしゃいますが、ジュースより下ゆでなどでカリウムを減らした野菜を摂るようにしましょう。

アルコールは蒸留酒を

透析患者さんも体調が安定している時なら、適量のお酒を楽しむことは問題ありません。しかし、アルコール類は種類によってリンの量が大きく変わってくるので注意してください。リンを最も多く含んでいるのはビールで、その他発泡酒、日本酒、ワインなどが続きます。

ビールに似た味を楽しめるノンアルコールビールも、リンを多く含んでいます。おすすめなのは、微量のリンしか含まないウイスキーやリンを含まない焼酎などの蒸留酒です。また、お酒を飲む時は、塩分が多いおつまみの食べ過ぎにも気をつける必要があります。

無糖の炭酸水はカリウムもリンもほぼゼロ

コーラはリンが多め、果汁入り炭酸飲料はカリウムが多めなので、控えてください。無糖の炭酸水はカリウムもリンもほぼゼロなので、おすすめです。お酒を飲む時は、ウイスキーや焼酎を炭酸水で割るのがいいでしょう。

白湯で体を温めて

白湯や水は、カリウムもリンも含んでいないので安心です。できれば白湯の方が、体を温めて血流をよく するので、いいでしょう。薬を飲む時も、水より白湯を習慣にしてください。

飲み物の量は1日500ml以内が目安

透析患者さんは飲み物の種類だけでなく、量にも注意しなければなりません。尿が出なくなった透析患者さんの場合、体から外に出ていく水分は汗や呼吸、便に含まれるものだけになります。一方、体に入ってくる水分には、食べ物や飲み物に含まれるものに加えて、糖質や脂質を代謝する時に生じる代謝水もあります。

体内に余分な水分がたまり過ぎると、心血管系疾患の原因にもつながり、命に関わります。1日の水分摂取量は飲食物全体で約2000ml以下が目安です。その中で飲み物は、約500mlと考えてください。

水分摂取量を抑えるためには、マイカップなどを用意して、飲み物は量を決めて飲むようにしましょう。薬を服用する時の水分は忘れがちになりますが、必ず加えてください。また、アルコールは飲んでいるうちについつい制限量を超えやすくなるので、注意が必要です。

飲み物には、透析患者さんが制限しなければならないカリウムやリンを多く含んでいるものがあるので気をつけましょう。
また、飲む量にも注意が必要で、1日約500ml以内を目安にしてください。

まとめ

  • 尿が出なくなった透析患者さんはリンやカリウムが体内にたまりやすくなるので、食事制限を行います。
  • リンやカリウムは食べ物だけではなく、飲み物にも多く含まれているものがあるので、注意しましょう。
  • お茶は玉露や抹茶を控えて、麦茶や玄米茶を選ぶことで、カリウムの摂取量を抑えることができます。
  • コーヒーよりも紅茶の方が、カリウム含有量が少なくなります。
  • 無糖の炭酸水や白湯なら、カリウムやリンの心配がありません。
  • 透析患者さんの1日の水分摂取量の目安は、食べ物と飲み物を合わせて約2000ml以内です。飲み物だけでは約500ml以内に抑える必要があるので、マイカップを使って飲み物は量を決めて飲むようにしてください。