透析患者さんやそのご家族は、自分が住んでいる地域で大きな災害が起きた場合、透析が受けられなくなるのではないかと考えると、とても心配になりますよね。災害時の治療に関しては都道府県ごとの体制が整っていることに加え、日本透析医会にも災害時情報ネットワーク(https://www.saigai-touseki.net/)のページで情報を提供するシステムになっているため、患者さんが透析を受けられなくなることはありません。

そして患者さん自身も、いざという時にスムーズに治療が継続できるように、日頃から災害に備えて準備をしていくことが大切です。
今回は災害時の透析治療と、準備や確認しておきたいことについてご紹介します。

ガタガタガタ……(地震で物が揺れる音)

甚五郎甚五郎

あ、揺れてるぞ。地震だ、地震だ


高瀬高瀬

地震ですね。あ、もうおさまりましたね、よかった!


甚五郎甚五郎

しかし、もし大きな地震が起きたらどうなるんだ!
こんなふうに1日おきの透析が受けられなくなったら、ワシ達透析患者はどうなってしまうんだよ


高瀬高瀬

まあまあ落ち着いてください、甚五郎さん。
透析患者さん達が透析を受けられなくなったら命に関わります。
ですから災害時のシステムもきちんと整っているんですよ。安心してください


甚五郎甚五郎

なんだ、そうなら、そうと早く言いなさい!


高瀬高瀬

またそうやって急かす……(まったく甚五郎さんには困ったもんだ)
ではこれから災害時の透析について説明しますから聞いてくださいね。
事前に知っておくといざという時必ず役に立ちますから


甚五郎甚五郎

よし、頼むよ

住んでいる地域で大きな災害が起きたらどうすればいい?

ライフラインに影響が出るような大きな災害が起きた場合、透析患者さんはどうすればいいでしょうか。

①普段透析治療を受けているクリニックに連絡

まず、いつも通っている透析クリニックに連絡しましょう。パソコンやスマートフォンなどが使える状態なら、クリニックのホームページを確認します。クリニックの被災状況や透析治療可能かどうかなどが掲載されている場合もあります。

また電話がつながらない時は災害伝言ダイヤル171にメッセージを残して、クリニックと連絡を取ってください。災害時の連絡方法については、クリニックに事前に確認しておくと安心です。

②普段通院しているクリニックで透析が受けられない場合

通院している医療機関が災害のため透析治療を行えない状態になっている場合は、代替施設を探す必要があります。通常はそのクリニックから、別の施設を紹介してもらえるのですが、状況によっては自分で探さなければなりません。代替施設を探す主な方法は次のようになります。

災害時情報ネットワーク(https://www.saigai-touseki.net/)のページで確認

震度6弱以上の地震や、国または地方公共団体により災害救助法が適用されるような災害が発生した場合、日本透析医会が情報を発信するサイトです。透析治療を受けられる施設の情報が随時更新されます。

消防隊員や救急隊員に透析患者であることを伝える

災害時の対応については都道府県ごとのガイドラインが定められているので、救助にあたる消防隊員や救急隊員は医療機関についての情報も共有しています。透析患者であることを伝えて、消防隊員や救急隊員の指示に従いましょう。

透析患者さんは日頃の備えを万全に

災害が起きた場合も透析治療を受けられるように、患者さん自身も日頃の備えが大切です。いざという時のために非常時の持ち出し品をまとめておきましょう。透析患者さんは一般の方の非常持ち出し品に加えて、次のようなものを準備しておいてください。

透析患者カード

災害時でも継続して透析治療が受けられるように、患者さんの情報を記入するカードです。医療機関で入手するか、お住まいの都道府県のホームページからダウンロードして、記入しておきましょう。

健康保険証、身体障害者手帳、特定疾病療養受療証などのコピー

代替施設で透析治療を受ける場合に備え、コピーを1部ずつ用意しておきましょう。

常備薬

災害時に簡単に手に入らなくなるのが薬です。
降圧薬や脂質異常症治療薬など普段服用している薬がある方は、数日から1週間分程度用意しておいてください。糖尿病の方はインスリン注射の予備も手元に置いておくと安心です。

血液透析中に災害が起きた場合は?

血液透析中に大きな地震などの災害が起きた場合は、まず揺れで針が抜けないように血液回路を押さえてください。この時慌ててベッドから落ちないように気をつけましょう。透析中止と医師が判断した場合は、透析装置から離脱することになりますが、離脱はボタン1つでできるので、スタッフの指示に従ってください。

避難が必要な時はスタッフの誘導に従い、落ち着いて行動します。避難経路や非常口などは、事前に確認しておくようにしましょう。これまでの規模の大きかった地震の経験から、透析室はむしろ安全な避難場所と言える場所です。揺れている最中は落下物に注意して、例えば布団や毛布等をかぶるなどして、冷静に待機して下さい。施設側でも日頃から皆様に落下物の危険がないように配慮しています。

また建物内にエレベーターがある施設では「地震の時はエレベーターを使わない!」と覚えておいてください。これは閉じ込め事故を防ぐ目的です。多くのエレベーターはそれなりの規模の地震が起こると速やかに最寄階に停止してドアーが開く仕組みになっています。ドアーが開いたら即刻エレベーターの外に避難してください。

災害時の過ごし方の注意

大きな災害が起きた時は、平常時と同じような間隔で透析治療を受けられないことも少なくありません。そのため体内には老廃物や水分が溜まりやすくなるので、水分制限、食事制限にはより厳重に取り組み体調管理をする必要があります。

災害時は食品を手に入れにくくなることがあるので、低タンパク食や減塩食なども非常用に準備しておきましょう。

現在の日本では、災害時も透析治療を継続できる体制が整っています。患者さんはいざという時もスムーズに透析治療が受けられるように事前の準備を万全にしておくこと、そして慌てず冷静に行動することが大切です。

高瀬高瀬

わかりましたか、甚五郎さん。大きな地震などが起きた時も透析治療を続けて受けることができるようになっているので、心配はいりませんよ


甚五郎甚五郎

話を聞いて、安心したよ


高瀬高瀬

でも日頃から災害に備えた準備をしておかないといけませんよ。甚五郎さんは、ちゃんと準備してありますか


甚五郎甚五郎

いや、うーん。非常持ち出し袋がどこかにあったと思うが、あれはどこに行ったかな……


高瀬高瀬

えっ。それじゃあ全然準備していないじゃないですか


甚五郎甚五郎

わかった、わかった。今日帰ったら早速準備するよ


高瀬高瀬

そうしてくださいね。今日お話した透析患者さんの災害時の注意点を下の方にまとめておきますから、読んでおいてくださいね


甚五郎甚五郎

わかったよ、ありがとう

まとめ

  • 災害が起きた時は、まず普段治療を受けている透析クリニックに連絡を取り、治療継続が可能かどうか確認しましょう。
  • 代替施設は、いつも通っているクリニックから紹介してもらうか、災害時情報ネットワーク(https://www.saigai-touseki.net/)のページで探します。
  • 透析患者であることを伝えれば、救助スタッフからも透析治療を受けられる医療機関の情報を得られます。
  • 万が一の時のために日頃の備えが大切です。透析患者カードや健康保険証、身体障害者手帳、特定疾病療養受療証などのコピーも準備しておきましょう。
  • 災害時には薬が手に入りにくくなるので、常備薬は余分に手元に置いておきましょう。
  • 血液透析中に災害が起きた場合は、落ち着いてスタッフの指示に従って避難します。
  • 災害時は、水分制限や食事制限をより厳格に守って、体調の変化に注意しながら過ごしましょう。