腎臓の機能低下を防ぐためには食事療法が大切だとはわかっていても、何にどう気をつけるべきかは、複雑で難しいですよね。
それに長年の食習慣を変えるのはなかなか大変です。
慢性腎臓病の食事療法は、進行度によって内容が異なり、腎臓の働きが弱まるほど制限が必要なことが増えてきます。
食事療法のポイントは、腎臓に負担をかけるものを余分に食べないということです。
今回は食事療法の取り組み方についてご紹介します。
現在の状態で必要なことは何か、今後ステージが進んだ場合はどんな食事にすべきかなど参考になさってください。

空ちゃん空ちゃん

あ、お父さんお帰りなさい!検査どうだった?


豆雄豆雄

それが……とうとう慢性腎臓病だと診断されてしまったよ……


空ちゃん空ちゃん

!……じゃあ、これからはしっかり食事療法を続けましょうね


豆雄豆雄

……私を怒らないのかい?


空ちゃん空ちゃん

怒ることなんてないよ。腎臓の調子が悪いって聞いた時から、こうなることは予想がついたし、お父さんはお父さんなりに頑張っていたと思うし


豆雄豆雄

空……


空ちゃん空ちゃん

だから、これからはもっとしっかり食事に気をつけて、病気の進行を少しでも遅らせよう!


豆雄豆雄

もちろんだよ!食事療法についての話も聞いてきたよ。まあ、もう空から聞いた話ばかりで、できるだけ薄味がいいということだったけど


空ちゃん空ちゃん

もっと具体的なアドバイスもあったんじゃない?


豆雄豆雄

そうだなあ……。刺身につけるしょうゆは控えめに、とか、ラーメンのスープも残すように、とか……


空ちゃん空ちゃん

えー、それだけ? 本当はもっといろいろ教えてもらったのに、覚えていないだけでしょう!


豆雄豆雄

そ、そんなことは……


空ちゃん空ちゃん

もう、いい加減なんだから! 私がこれから慢性腎臓病の人の食事療法について説明するから、ちゃんと聞いて守ってね


豆雄豆雄

わ、わかったよ(空がいたら、病院に行く必要がなくなるな……)

ステージ1、2はまず減塩から

慢性腎臓病は薬だけでは進行を抑えるのが難しく、食事療法が重要になります。
腎臓の機能を守るためには、毎日の食事で何をどのくらい摂るかがとても大切です。
具体的な食事療法は、ステージの進行によって変わってきます。
ステージ1、2のうちは、塩分を1日6g未満に控えるだけで、食事内容は基本的に健康な人と変わりません。
では塩分1日6g未満とは、具体的にはどのくらいでしょうか。
日本人の平均的な食塩摂取量は、平均9.9g(厚生労働省:平成28年国民健康・栄養調査結果の概要http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html
なので、6gはその約3分の2。
1日の3食に分けて考えると1食2gで、食塩なら小さじ3分の1、しょうゆなら小さじ2と3分の1くらいです。
最初は薄く感じるかもしれませんが、少しずつ慣れていきましょう。
腎臓が弱っている場合、まず基本は減塩です。
その後慢性腎臓病が進行してステージ3a以降になると、タンパク質などの制限も必要になってきます。

進行すると制限が厳しくなります

ステージ3a以降になると、塩分の制限に加えて、タンパク質やカリウムなどの制限が加わります。

①タンパク質

タンパク質は、体の組織を作る大切な栄養素ですが、体内で分解された時、尿素、クレアチニン、尿酸などの老廃物ができます。
タンパク質の摂取が多いと、老廃物もそれだけ増えるため、老廃物のろ過を果たしている腎臓に負担がかかることになります。
機能が低下した腎臓には、老廃物を取り除いて血液をきれいにする力が衰えているので、老廃物のもとになるものはなるべく体内に持ち込まないようにしようというのが、タンパク質制限の目的です。
1日のタンパク質摂取量は
・尿タンパク量が1日0.5g以上のステージ1・2の人と尿タンパク量が1日0.5g未満のステージ3aの人
(1日のタンパク質摂取量)g=(標準体重)kg×0.8~1.0
・尿タンパク量が1日0.5g以上のステージ3bの人とのステージ4、5の人
(1日のタンパク質摂取量)g=(標準体重)kg×0.6~0.8
・ステージ5で医師が超低タンパク食が必要と認める場合は
(1日のタンパク質摂取量)g=(標準体重)kg×0.5以下
標準体重の求め方
※(標準体重)kg=(身長)m×(身長)m×22

②カリウム

腎臓の働きが正常ならば、食事から摂ったカリウムの余分な分は尿に排泄されます。
カリウムは野菜や果物類に多く含まれています。腎臓でのカリウムの排泄機構は単純なため、再吸収したりせずに一方的に捨てるようなっています。
このため、かえって腎不全になるとカリウムの血中濃度は短時間で上昇しやすい印象があります。
高カリウム血症が進むと不整脈につながるリスクがあるので、カリウムの摂取量を減らす必要があります。

1日のカリウム摂取量は
・ステージ1、2、3aの人は医師の特別な指示がなければ制限は不要。
・ステージ3bの人は、2000mg以下。
・ステージ4、5の人は、1500mg以下。

③エネルギー

内臓脂肪が蓄積するメタボリックシンドロームは慢性腎臓病を悪化させる一因です。
肥満を解消し標準体重を維持するためには、適切なエネルギー摂取量を守る必要があります。
しかし痩せなくてはと極端に食事を減らすと、体を構成しているタンパク質が分解されてエネルギーに利用されてしまいます。
タンパク質が代謝されると老廃物が増加し腎臓に負担がかかるので、かえって逆効果になります。
自分に合ったエネルギー量を摂るように気をつけましょう。

1日の適正エネルギー量の求め方

・原因疾患が糖尿病以外の場合
(適正エネルギー量)kcal=(標準体重)kg×30~35kcal

・原因疾患が糖尿病の場合は、身体活動量によって適正エネルギー量が変わります。
軽労作(デスクワークが多い職業など)の場合は
(適正エネルギー量)kcal=(標準体重)kg×25~30kcal
普通の労作(立ち仕事が多い職業など)の場合は
(適正エネルギー量)kcal=(標準体重)kg×30~35kcal
重い労作(力仕事が多い職業など)の場合は
(適正エネルギー量)kcal=(標準体重)kg×35kcal~

④脂質

脂質の摂り過ぎは、肥満やメタボリックシンドロームの原因になり腎臓に負担をかけることになるので注意してください。
脂質の適量は健康な人と同じです。

1日の脂質摂取量の求め方
(1日の脂質の摂取量)g=(総摂取エネルギー量)kcal×0.20~0.25÷9kcal

⑤塩分

塩分摂取量の基本は1日3g以上6g未満です。
ステージ4、5でむくみが強い場合は1日3g以上5g未満となります。
「塩分摂取量は七五三」と唱えれば覚えやすいかと思います。

⑥水分

ある程度腎機能が保たれていれば、水分制限は必要ありません。
しかし慢性腎臓病が進行してむくみが強くなったり尿量が減少した場合は、医師の指示に従って水分の摂取量を制限することになります。
透析療法が始まったら尿が徐々に出なくなるので、水分は厳しく制限します。

生活習慣を見直して腎臓の負担を減らしましょう

慢性の病気は生活習慣が原因となっていることが多いのですが、特に慢性腎臓病の進行にはふだんの生活の中で腎臓にかけている負担が深く関わっています。

①夕食を食べ過ぎる

朝やお昼は時間がないため、ゆっくり食べられる夕食をたくさん食べるという方がいらっしゃいます。
しかし夜は消化器の働きが活発になっているため、栄養素が吸収されやすく肥満やメタボリックシンドロームにつながります。
夕食の食べ過ぎには気をつけましょう。

②外食が多い

一般的に外食は塩分量が多く、1食分で1日の目標摂取量を超えてしまうこともあります。
外食はできるだけ避ける方が良いですが、もし外食するなら一品料理より定食を選び、汁物は具だけ食べて汁は残す、漬物は残すなどの工夫が必要です。

③飲酒

お酒は適量なら問題ありませんが、おつまみに塩分の多いものや高カロリーの揚げ物などを食べないように注意してください。
いわゆる「酒の肴」にはリンや尿酸を多く含むものが大半なのでほどほどに。

運動の習慣は、血圧や血糖値の改善に効果的

運動不足は、肥満の原因になり、体力の低下にもつながります。
適度な運動は、血圧や血糖値、コレステロール、中性脂肪などの改善にも効果的なので、慢性腎臓病の進行を遅らせることができます。
ただし激しすぎる運動は体に負担がかかってしまいますので、体調に合った運動を医師とよく相談して決めましょう。

タバコは血流を悪化させるので、禁煙を

タバコと腎臓、一見あまり関係がなさそうですが、実は慢性腎臓病を進行させるのが喫煙習慣です。
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があるため腎臓への血流が悪化。
尿細管が傷つけられ、糸球体が硬くなってしまいます。
また血管を収縮させることで血圧も上昇し、動脈硬化が進行します。
腎臓を守るため、又、肺がんの相関もあるため禁煙することが必要です。

腎臓の機能低下を防ぎ慢性腎臓病の進行を抑えるためには、食事療法と生活習慣の改善が大変重要です。

空ちゃん空ちゃん

わかった?お父さん。慢性腎臓病は、まず減塩が必要なのよ。お父さんは外食が多い上に味付けが濃いものが好きだから……


豆雄豆雄

わかったよ(でも大げさだなあ)


空ちゃん空ちゃん

それからタバコもやめてね。今日から禁煙よ


豆雄豆雄

そ、そ、そんな……。これでも本数はだいぶ減らしたんだよ


空ちゃん空ちゃん

減らすだけじゃダメ!きっぱりと禁煙よ。今持っているタバコ、すぐに捨てるから出して


豆雄豆雄

厳しいなあ……


空ちゃん空ちゃん

慢性腎臓病の人の食事療法については下にまとめておいたから、よく読んでしっかり守ってね


豆雄豆雄

わかった、わかった

まとめ

  • 慢性腎臓病の進行を抑えるためには食事療法が欠かせません。
  • ステージ1、2は、食塩摂取量1日6g未満の減塩からスタートします。
  • ステージ3a以降に進行するとタンパク質、カリウムなどの制限が加わります。
  • 食習慣に加え生活習慣の改善も大切です。
  • 喫煙は腎機能を悪化させるので、タバコを吸っていた方は禁煙が必要です。