腎臓が悪くなり始めていずれは透析をと言われている方も、慢性腎臓病が進行してそろそろ透析導入をと言われている方も、実際透析治療することになったらどこの病院でするのがいいのか迷いますよね。
事故や術後の経過などで急性腎不全になった患者さんや、別の病気で入院中に腎機能が悪化した患者さんの場合は、総合病院で人工透析を行うことが多いのですが、慢性腎臓病から末期腎不全になった患者さんは、透析専門のクリニックへ定期的に通院して透析治療を行うのが一般的です。
今回は腎臓に異常が見つかった場合の対処法から通院治療、透析に移行するまでの流れと、透析治療を受ける施設の選び方までをご紹介します。

慢性腎臓病の早期発見には定期的な検査が必要

急激に腎機能が低下する急性腎不全の場合は倦怠感や強いむくみなどの自覚症状が出ますが、徐々に進行していく慢性腎臓病の場合、自覚症状はなかなか現れません。
早期に気づくためには、定期的な検査で腎臓の状態を確かめておくことが大切です。
体調に特に変化を感じなくても毎年1回の健康診断は必ず受けるようにしましょう。

①タンパク尿、血尿が出たら再検査をタンパク尿、血尿が出たら再検査を

健康診断で行われる尿検査では、試験紙を尿に浸し、試験紙の色の変化をチェックすることで尿中にタンパク質や血液が含まれていないかどうかを調べます。
タンパク質を含むタンパク尿が出たら、腎臓に何らかの異常があることが疑われます。
ただし激しい運動の後や発熱時などは腎臓に障害がなくてもタンパク尿が出ることがあるので、再検査を受けて確かめておきましょう。
また、尿に血液の成分が混じる血尿も要注意です。
肉眼ではわからない潜血でも検査をすれば血尿かどうかわかります。
血尿だけでは膀胱や尿道など泌尿器からの出血の可能性もあるので、腎臓に問題があるとは言いきれません。
タンパク尿と血尿がどちらも陽性の場合は、腎臓に異常があるおそれが高いので、必ず再検査を受けるようにしてください。

②血液検査は毎年の変化をチェック

血液検査の項目の中で腎機能の状態を確認できるのが、血清クレアチニン値です。
クレアチニンは筋肉中の不要になったタンパク質が分解されてできる老廃物の一種です。
腎臓の働きが正常ならば、このクレアチニンは糸球体でろ過され尿として排泄されていきますが、腎機能が低下しているとろ過しきれないため血液中に残る量が増えることになります。
血清クレアチニン値は、毎年の変化を見ることをおすすめします。
正常値から大きく離れていなくても、毎年少しずつ数値が悪くなっていないかチェックしておきましょう。

尿検査、血液検査で異常が見つかったら、腎臓内科またはかかりつけ医へ

尿検査、血液検査で腎臓の障害が疑われた場合は、腎臓内科のある病院や腎臓専門医のいる病院に受診しましょう。
腎臓専門医は、日本腎臓学会のホームページから探すことができます。
https://www.jsn.or.jp/specialist/listindex.php
ただし腎臓専門医の数は少ないので、お近くに専門医が見つからない場合は内科のかかりつけ医に受診しましょう。
腎機能の低下が確認され、慢性腎臓病と診断された場合は、かかりつけ医から専門医を紹介してもらうことが一般的です。

①腎臓の状態を把握し治療方針を決める

受診した病院では、腎臓の状態について詳しく調べることになります。
今自分の腎臓に何が起きているか、腎臓の機能はどの程度残っているか、どんな治療をすれば良いかをはっきりさせることが大切です。

②慢性腎臓病のステージに合わせた治療を始める

進行度により5段階に分類されている慢性腎臓病のステージに合わせて、薬物治療、食事療法、運動療法などをスタートします。
できるだけ早い段階で適切な治療と対策を始めることが、腎機能の低下を防ぎ、QOLを守ることになります。
長いつきあいになるのが腎臓の病気です。
定期的に通院し、主治医の指示を守って過ごしましょう。
自覚症状がないから、前回の検査値が良かったから、忙しいからなどの理由で通院治療を止めてしまうと、次に異常を感じて受診した時には腎臓の働きがほとんど失われていた、ということにもなりかねません。

③原因疾患への対応

慢性腎臓病の原因となっている疾患への対応も始めます。
原因疾患が糖尿病なら血糖値のコントロール、高血圧なら血圧のコントロール、肥満やメタボリックシンドロームなら減量、炎症があればその治療をします。
食事療法、生活改善にもしっかり取り組みましょう。

人工透析を検討する時期が来たら、導入後の維持治療をどのクリニックで行うかも考える

一度失われた腎臓の機能は元に戻らないので、なんとか自分の腎臓の状態を保ちたいと治療や食事療法、生活改善を続けていても、腎機能の低下が進んでしまう場合もあります。
重症になるほど、心不全や脳梗塞など致命的な病気のリスクが高まり、むくみや倦怠感など全身に尿毒症の症状が出やすくなります。
そこで慢性腎臓病のステージ5になると、検査結果や体調などを考えながら、透析治療の導入を考えることになります。
透析導入の時期と合わせて、透析治療の維持をどこで受けるかも重要な問題です。
もちろんこれまで通院していた病院で透析治療を受け続ける方法もありますが、透析専門のクリニックに転院するという選択肢もあります。
透析の導入だけはそのままその病院で行い、その後の定期的な透析治療は通いやすい透析専門クリニックでという患者さんも多いです。

透析クリニックの選び方は?

人工透析は他の一般的な治療と違い、定期的に通院し、一度始めたらずっと続けていかなければならない治療です。
長く続けている間にはさまざまなトラブルが起きることもあります。
多くの透析患者さんの治療実績があり、いざという時の対処方法が整っているクリニックを選びましょう。
深刻な合併症が起きた時や病状が悪化した時の提携病院についても確認しておいてください。
また透析療法は、働きがほぼ低下した腎臓の機能を代行することで患者さんの命と人生を支える治療です。
その分時間的拘束も長く、透析治療を中心に生活を組み立てる必要も出てきます。
不自由なことがあっても前向きに透析治療を続けるためには、院長をはじめ医療スタッフの治療方針やモットーを確認し、共鳴できるクリニックを選ぶことも大切です。

慢性腎臓病は早期に発見して、できるだけ早く治療、対応を始めることで、腎機能を守ることができます。
それでも進んでしまった場合は透析療法に移行しますが、透析治療を受けるクリニック選びも重要です。
通院しやすさはもちろん、長年にわたって治療を行っている実績のあるクリニックを選びましょう。

まとめ

  • 定期的な検査で腎臓の異常を早期発見するようにしましょう。早期に治療と対応を始めれば、病気の進行を遅らせることができます。
  • 尿検査、血液検査で異常があった場合は必ず再検査を受けましょう。
  • 腎臓の病気が疑われる場合は、腎臓専門医またはかかりつけ医に受診してください。
  • 慢性腎臓病のステージに合わせた治療を行い、進行を防ぎます。
  • 慢性腎臓病がステージ5まで進行すると、透析療法が必要になります。
  • 長く続けることになる透析治療は、信頼できるクリニックを選ぶことが大切です。