若くして腎臓病にかかり透析治療を受けることになっても、健康な人と同じように人生を楽しみ、恋愛や結婚もしたいですよね。そして女性は妊娠への影響についても気になると思います。パートナーや家族がいることは透析患者さんの大きな支えになりますし、妊娠、出産を望む患者さんも今は増えています。
今回は透析患者さんの恋愛、結婚、妊娠についてご紹介します。

空ちゃん空ちゃん

お父さん、食事の用意ができたわよ。今日も食事療法のルールをしっかり守りながら美味しくなるように工夫したのよ

豆雄豆雄

おお、うまそうだ

空ちゃん空ちゃん

洗濯物もたたんでおいたからね

豆雄豆雄

ありがとう。ほんとに、そらはよくやってくれるね。いい嫁さんになりそうだよ

空ちゃん空ちゃん

あ、こっちも食べてね

豆雄豆雄

ところで、そらは、付き合っている人はいないのか?

空ちゃん空ちゃん

何?お父さん、急にどうしたの

豆雄豆雄

いや、そらも、もうそういう年頃だと思ってな

空ちゃん空ちゃん

年頃と言えば、私と同年代でも透析を受けている患者さんはいるわよね。
その人達、恋愛したり結婚したり、そして出産したりはできるのかなあ

豆雄豆雄

そうだなあ……そら、話を変えていないか?それより付き合っている相手は……

空ちゃん空ちゃん

透析患者さん達の恋愛や結婚のこと、すごく気になってきた!私、清水さんに聞いてくる

豆雄豆雄

こら、まだ話は終わってないぞ。そらには付き合っている男性は……

妊娠・出産を望む透析患者さんは増加

中高年以降の方が多い透析患者さんですが、子供の頃や10代にかかった腎臓病が原因で透析導入をすることになった若い患者さんもいらっしゃいます。そんな方にとって気になるのは、透析治療の結婚や出産への影響です。以前は腎臓が悪い女性は、妊娠・出産は難しく、そのため結婚の障害になることもありました。
しかし現在では主治医とよく相談して母体と胎児に悪影響が出ないための条件を満たせば、妊娠・出産が可能となる場合もあります。

透析患者さんは妊娠しにくい?

①排卵

透析患者さんは1日おきに透析治療を行っていても、健康な方よりも体内に老廃物が溜まりやすくなっています。そのため老廃物に含まれる毒素の影響で卵巣機能が低下し、排卵の回数が減っていたり無排卵となっていたりするケースがあります。ですから生理があっても正常に排卵が起きているかどうかはわかりません。排卵の有無を調べるには基礎体温を測って、低温期と高温期があることを確認する必要があります。

②妊娠検査

尿で妊娠しているかどうかを調べる妊娠検査薬は、尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの有無に反応します。しかし透析患者さんは妊娠していなくても、このhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が体内で少量産生されていることがあり、尿が出ている患者さんが検査を行った場合、妊娠反応が陽性になることがあります。透析患者さんの妊娠については、超音波検査を行い、慎重に診断する必要があります。また、体内の老廃物に含まれる毒素の影響で生理周期が乱れやすい透析患者さんは、妊娠に気がつくことが遅れがちです。妊娠の可能性があれば早めに検査を行うことが重要です。

腎臓の病気は赤ちゃんに遺伝する?

透析患者さんが妊娠・出産を考える上で心配なことの1つが、腎臓の病気が子供に遺伝する可能性です。子供への遺伝は、透析に至った原因疾患が何であったかによって変わってきます。遺伝性の腎臓病で最も患者さんが多いのは多発性嚢胞腎で、両親のどちらか片方がこの病気の遺伝子を持っていた場合は、50%の確率で子供に遺伝します。また男性に多いアルポート症候群も遺伝性の病気で、幼少期から血尿が見られます。さらに透析の原因疾患第1位の糖尿病のうちⅡ型は体質の遺伝が大きく影響しますが、生活習慣に気をつければ発症を防ぐことができます。

透析患者さんの妊娠・出産

妊娠・出産は、健康な女性でも腎機能の低下やタンパク尿が見られる妊娠高血圧症候群を発症することがあります。また透析を受けていない腎臓病の方でも、妊娠がきっかけで腎機能の低下が進行するケースが見られます。妊娠・出産はそれだけ体への負担が大きいものなので、透析患者さんの場合は様々なリスクを配慮し、厳重な管理を行うことが必要になります。

①流産や早産のリスクは高い

透析患者さんは妊娠できても、流産や早産のリスクは高くなります。原因は、体内に溜まった老廃物が白血球の機能を低下させることによる子宮内感染、余分な水分による羊水過多などです。

②入院して充分な透析を行う

体内の老廃物や余分な水分は、母体と胎児の両方に深刻な影響を与えます。そのため1日おきに通院しての透析治療ではなく、入院して週に5~6回の頻回透析を行いながら、厳重に管理します。母体の状態や胎児の発育を考慮しながら出産の時期を決めますが、多くは帝王切開での早産となります。

③薬物治療にも注意が必要

透析患者さんは様々な薬を服用していますが、その中には妊娠中の服用には注意が必要なものがあります。例えば降圧剤のアンジオテンシン阻害薬は、催奇形性として胎児に影響が出るため使用しません。また降圧剤のβ遮断薬も胎盤血流量減少を起こす可能性があるので、注意が必要です。

④新生児はNICUへ

透析患者さんの出産では赤ちゃんは未熟児で生まれることがほとんどなので、体重が増え体の機能が整うまでNICU(新生児集中治療室)がある病院で、管理することになります。

④退院後の生活

母子ともに退院してからも、新生児の間は24時間目が離せません。その期間もお母さんは以前のように定期的に透析に通わなければなりませんので、ご家族のサポートが必須になります。

透析患者さんも結婚して妊娠、出産を望む方が増えています。様々な条件が揃えば出産は可能ですが、流産や早産のリスクも高く、入院して厳重な管理のもとで妊娠期間を過ごすことになります。妊娠については主治医やご家族とよく相談して検討するようにしてください。

清水清水

透析患者さんの妊娠、出産について説明したけど、わかったかな?そらちゃん

空ちゃん空ちゃん

ありがとうございます。透析患者さんが、出産するのはとても大変なことだというのがよくわかりました。でも腎臓が悪くても恋愛したり、結婚したり、お母さんになったりと、健康な人を同じように過ごしたいという患者さんの気持ちもよくわかります

清水清水

そうね。でも母子とも危険な状態になるリスクもあるから、主治医と充分に相談することが必要ね

空ちゃん空ちゃん

無事赤ちゃんが生まれてからも大変だから、家族みんなで協力して子育てしていかないといけませんね

清水清水

そう思うわ。透析患者さんの妊娠や出産については下にまとめておいたから読んでおいてね

空ちゃん空ちゃん

はい。父にも今日聞いたお話を伝えます

まとめ

  • 妊娠・出産を望む透析患者さんは増えていますが、妊娠は健康な人でも体に大きな負担がかかるので、慎重に考える必要があります。
  • 透析患者さんは、卵巣機能の低下で正常な排卵が起きにくくなっています。
  • 透析に至った原因疾患が多発性嚢胞腎など遺伝性の病気でなければ、子供に遺伝することはありません。
  • 透析患者さんは、流産、早産のリスクが高くなります。
  • 母体と胎児の安全を守るため、入院して頻回透析を行います。
  • 透析患者さんの出産は帝王切開になることが多く、未熟児で生まれた場合はNICUでの管理が必要になります。