お子さんが腎臓の病気だと言われたら、ご家族はとても心配ですよね。お子さん自身の気持ちや学校生活への影響があるかなども気になります。子どもの腎臓病には、大人の腎臓病とは違った特徴があります。治療法の進歩もあり、早期に適切な対応ができれば、その後の経過も良くなっています。今回は子どもの腎臓病についてご説明します。

子どもがかかりやすい腎臓病

大人の腎臓病は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が原因になっていることが多いのですが、子どもの場合は、先天的な理由や感染症などが原因で腎臓の病気になることがほとんどです。

①先天性腎疾患

先天性の腎疾患とは主に、生まれつき尿路などに異常がある先天性腎尿路異常や二つあるはずの腎臓が一つしかないケース、生まれつき腎臓に嚢胞がある常染色体劣性多発性嚢胞腎などがあります。先天的に腎盂と尿管の移行部などに狭窄があると、尿路がつまって尿管が拡張する水腎症を引き起こします。

また 、発達過程で腎臓が正常に成長せず、腎機能に障害が起きる場合もあります。

②溶連菌感染による急性糸球体腎炎

風邪や扁桃炎を引き起こす溶連菌感染がきっかけとなる急性糸球体腎炎も、子どもによく見られる腎臓の病気です。熱が下がってから約2~3週間後に発症するため、「溶連菌感染後急性糸球体腎炎」とも呼ばれます。

細菌やウィルスに感染すると、人間の体内では免疫反応によって、抗体が作られます。抗体と細菌などが結合した免疫複合体という物質ができ、血液で腎臓に運ばれ、糸球体に付着して炎症を引き起こします。その結果、健康な時なら糸球体を通り抜けることができない赤血球やタンパク質がもれ出て、尿中に排出されるのです。

子どもの急性糸球体腎炎の代表的な症状は、次のようになります。まず顔全体やまぶた、手や脚にむくみが出ます。まぶたが開かないほど、むくんでしまうこともあります。そして尿の異常が起き、濃い茶色の血尿が見られます。軽度のタンパク尿が出たり、尿の量がかなり少なくなったりすることもあります。さらに血圧が高くなるため、高血圧性脳症になり、けいれんを起こす場合もあるので注意してください。
治療は薬物療法を中心に行いますが、経過は良好で、約9割は全快します。

③IgA腎症による慢性腎炎

血尿やタンパク尿が1年以上続いた場合は、腎生検などの精密検査を行うことが一般的です。病変が確認された場合は、「慢性腎炎」と診断されます。子どもの慢性腎炎の原因として多いのは、「IgA腎症」です。IgA腎症は、免疫機能の中心的な役割をしている免疫グロブリンが糸球体に付着することで起きます。

④ネフローゼ症候群

血液中のタンパク質が大量に尿に排出されるのが、「ネフローゼ症候群」です。3歳から6歳の小児に多く、強いむくみが突然現れ、体重の増加も見られます。ネフローゼ症候群にはいくつかのタイプがありますが、子どもの場合は糸球体の形態に変化がない微小変化型が中心です。治療は副腎皮質ステロイド薬で行い、治癒率も高い病気です。

⑤尿路感染症

大腸菌などが尿道や膀胱をさかのぼって腎臓や腎盂に入り、炎症を起こす病気です。発熱やひきつけ、嘔吐などの症状が現われます。特に先天性腎尿路異常のお子さんの場合は、細菌が侵入しやすいため、尿路感染症を繰り返す ケースがあります。

3歳児検尿や学校検尿で発見されることも

子どもの腎臓病は、むくみや尿の異常によって分かることがあります。特に目立った自覚症状がなくても、3歳児検尿や学校検尿で発見される場合も多いのです。検尿で発見されることが多いのは、IgA腎症による「慢性腎炎」や「ネフローゼ症候群」、「急性糸球体腎炎」などです。

検尿で血尿やタンパク尿が陽性となっても、必ずしも腎臓病を発症しているとはいえないので、万が一陽性となった場合、以下のように対応してください。

・血尿のみが陽性の場合
数カ月に1度、専門医を受診して尿検査を受けてください。

・タンパク尿のみが陽性の場合
激しい運動や脱水、発熱などが原因の一過性タンパク尿や、立った時や腰を曲げた時にだけタンパク尿が出る「起立性タンパク尿」の場合もあります。起立性タンパク尿は、腎臓が圧迫されていることが原因となっているもので、病気ではありません。

・血尿とタンパク尿の両方が陽性の場合
小児科の腎臓専門医を受診してください。
日本腎臓学会腎臓専門医名簿より

腎臓病の子どもの食事制限は?

大人の腎臓病の場合は、ステージに合わせてタンパク質の摂取量を制限しますが、子どもはタンパク質制限を行いません。タンパク質の摂取量を制限しても腎機能低下を抑える効果がなく、子どもの成長を第一に考えるためです。塩分については、高血圧を伴う腎臓病の場合、血圧を下げるために減塩をすすめられることがあります。

先天性腎尿路異常「の場合は、塩分を制限すると電解質異常などが起きる可能性があるため、減塩は行いません。

腎臓病の子どもの運動制限は?

腎臓病の子どもの治療では、激しい運動をのぞき、運動の制限は行わず、健康な子どもと同じように生活することが基本になります。このため、学校の体育の授業は休む必要はありません。強いむくみが出ている場合や、高血圧が続いている時などは、症状に応じて運動制限を行うこともあります。

学校生活や日常生活への配慮

腎臓病の種類によっては、長期間学校を休んだり、通院治療のために欠席や早退、遅刻などが多くなったりすることがあります。担任や保健教員には、子どもの状態を説明し、協力を仰ぎましょう。

副腎皮質ステロイド薬を服用している場合は、副作用により顔が満月のように丸くなるムーンフェイスや、肥満になることがあります。そのことが原因で、ほかの生徒や友達からのからかいやいじめの原因にならないために、まわりの理解を得られる体制にしましょう。子どもの腎臓病では、学校生活や日常生活を楽しんで過ごせるようにする配慮が大切になります。

子どもの透析について

薬物療法を続けても腎機能の低下が進行してしまった場合は、「透析療法」や「腎移植」が必要になります。子どもの透析療法は、血液透析ではなく日常生活への制限が少ない「腹膜透析」を選択することが一般的です。成長して外科手術にたえる体力がついたら、腎移植を検討することもあります。

子どもの腎臓病には、大人の腎臓病とは違った特徴があります。早期に発見し、きちんと治療することで、大人になってからの日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

まとめ

  • 子どもの腎臓病の多くは、先天的な理由や感染症などが原因になっています。
  • 溶連菌感染の後に急性糸球体腎炎を発症することがあります。
  • 子どもの慢性腎炎の原因として多いのは、IgA腎症によるものです。
  • ネフローゼ症候群は、むくみとタンパク尿が特徴です。
  • 大腸菌などの細菌が原因で尿路感染症を発症することもあります。
  • 子どもの腎臓病は、むくみや尿の異常、3歳児検尿、学校検尿などで発見されます。
  • 子どもの腎臓病では、通常食事制限や運動制限は行いません。
  • 腎臓病の治療を行いながら、日常生活や学校生活を楽しめるような配慮が必要です。
  • 子どもの透析は、腹膜透析を選択するケースが多いです。す